2019 Fiscal Year Research-status Report
学校運営への父母参加制度の3か国比較研究:イギリス、ドイツ、日本
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19K14129
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
葛西 耕介 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00769010)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コミュニティスクール / 学校運営協議会 / 親の教育権 / イギリスの学校理事会 / ドイツの学校会議 / 学校参加 / 参与観察 / 学説史研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は理論的研究と実証的研究から成り立っている。初年度である本年度は文献調査による理論的研究が中心となった。 この理論的研究においては、これまでに行ってきた研究のうち、特に日本の学校運営への父母参加にかかわる学説史をまとめあげることに注力した。すなわち、3つの時期区分――1945年から1950年代半ばの時期、1950年代半ばから1980年代半ばの時期、1980年代半ば以降の時期――をもちながら、共時的には5つの≪公共性≫論を用いて学校運営への父母参加についての学説史を検討することで、親の教育権や父母参加論の類型をめぐる対抗を学説史的に明らかにして学校運営への父母参加論の通時的・共時的展開を構造化した。こうしたトータルな学説史研究はこれまでに行われてこなかった研究であり、重要性が高い。この研究によって、東京大学より博士号の授与を受けた。 実証的研究としては、日本におけるコミュニティスクール(小・中学校)の参与観察を継続的に進めてきた。その結果、暫定的・仮説的な結論として、第1に、校長のリーダーシップ・特性のみならず構成員の内訳(「保護者」や「地域住民」などの属性や、年齢)によっても議事・審議の内容が大きく影響を受けること、したがって、第2に、構成員について「地域住民」よりも「保護者」を代表する者の割合を多くすることによって、学校の周辺的活動への支援を中心とした議事ではなく教育課程に直接関係する事項についての議事運営が活発になるであろうこと、第3に、子どもの意見の聴き取りなども含め、学校の教育活動・授業と結びついた学校運営協議会の多様な取り組みがなされていること、が明らかになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響から予定していた国際会議や訪問調査が困難となったものの、理論的研究については順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の重点をこれまでの理論的研究から実証的研究へと移していく。すなわち、第1に、日本について学説研究から参与観察を中心とした調査研究へと進展していくとともに、第2に、イギリスとドイツについての海外調査研究、欧文文献研究に移行していく。 日本については、これまでも行ってきた日本のコミュティスクールの参与観察を継続的に行っていく。その際、学校種・学校規模・地理の点における多様性を考慮して研究対象を広げていく。また、イギリスについては学校理事会(School Governing Body)、ドイツについては学校会議(Schulkonferenz)の参与観察を、近年出版されている文献の研究とともに進めていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国外調査を実施できなかったため。また、申請時には想定していなかった「独立基盤形成支援」が追加で交付されたため。 翌年度の国外調査によって使用することを予定している。
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Research Products
(3 results)