2019 Fiscal Year Research-status Report
Public-Private Partnership Between Charter Schools and Charter Management Organizations
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19K14142
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Research Institution | Takada Junior College |
Principal Investigator |
寳來 敬章 高田短期大学, 子ども学科, 准教授 (80638114)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカの教育改革 / チャータースクール / 教育の民営化 / 公-私の連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアメリカの公立学校であるチャータースクールとその設置・運営機関であるCharter Management Organizations(CMOs)の「公‐私の連携」について実証的に検討することを主な目的としている。 研究期間1年目の2019年度は、両者の連携枠組みの設定およびチャータースクールでの教育実践に着目し研究を進めてきた。本年度に検討した連携の枠組みは、先行文献の検討や以前にカリフォルニア州で実施したフィールドワークで収集したデータをもとに設定したものであり、CMOsがチャータースクールの教育実践を決定するうえで、大きな役割を果たしていることが明らかになった。語学や数学等の主要教科に関わるものだけでなく、ダンスや芸術、キャリア教育、保護者支援など多方面において充実した教育サービスが提供可能となっているだけでなく、事後評価に着目すると優秀な成績だということもわかる。 そして、本年度の研究ではキャリア教育に着目して検討した。チャータースクールは社会経済的に困難な地域や環境にある家庭出身の児童生徒が通うことが多くあり、そのような環境では移民に対する英語教育や学力の底上げなどが重要な教育課題となりえると同時に学校の使命ともいえる。そのような地域では孤立化する傾向が高い公立学校が多い中、CMOsが設置・運営するチャータースクールは良好な成果を挙げていることがわかった。 しかしながら同時に、連携が複雑多岐化することで連携の逆機能ともいえる、非効率な学校運営や学校が設定する教育目的とは大きく乖離した教育実践の現実も検討した。CMOsがチャータースクールを支配する構造やCMOsとチャータースクールの教育をめぐる意識の差などの問題が、結果として教員の混乱を招くことや排除される児童生徒がいることなどが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間の1年目である2019年度として、連携の枠組み等についての検討は概ね順調に進んでいると考えられる。それに加えて、2019年度内に2020年度に実施予定のフィールドワークの準備も考えていた。しかし、新型コロナウィルスの感染が世界的に拡大したことにより、海外調査の準備を順調に進めることが困難であった。質問紙調査及びインタビュー調査をカリフォルニア州ロサンゼルスとサンフランシスコで設置・運営されているチャータースクールで実施する予定だったが、フィールドワークの実施の可否ついては現段階では不明である。2020年度の後半及び2021年度での実施に向けて調査対象の学校や機関、職員と連絡を密にしながら、同時並行でフィールドワークが実施できなかった場合の研究活動についても具体的に検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
チャータースクールの実践やCMOsの拡大・発展については、引き続き情報収集及び検討を行い、連携枠組みの再検討・改善を試みた上で、論文執筆等成果として発表する。現在のチャータースクールは誕生した時期(1992年)よりも多様化が進み、なかでもカリフォルニア州のチャータースクールは多種多様な設置形態が許されていることからも、CMOsの関りも多様であることは想像に難くない。その整理とチャータースクールの教育実践やCMOsの役割等について検討する。 そして、研究期間2年目にあたる2020年度は海外調査を計画している。調査対象地域はカリフォルニア州ロサンゼルス及びサンフランシスコで設置・運営されているチャータースクール及びCMOsであり、以前の調査でも訪問した学校が多い。また、カリフォルニア州教育省やチャータースクールの支援団体であるCalifornia Charter School Associationへも訪問する予定である。しかしながら、世界的な新型コロナウィルスの感染拡大の影響により当初の予定通り海外調査の実施が困難となる可能性がある。その場合は、他の方法で研究活動や情報収集をする必要がある。現時点では以下のように考えている。 1)メールを活用した情報収集 2)インターネットを活用した質問紙調査の実施 3)ビデオ通話等を通じたインタビュー調査 もし海外調査の実施が困難であれば、上記のような手段を適宜用いることで情報収集に努めたい。
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Causes of Carryover |
2019年10月に参加予定だったアメリカ教育学会第31回大会が台風の影響のため中止となった。また、2020年2月に参加予定だった研修が新型コロナウィルス拡大の影響で中止となった。これら2点の理由から次年度使用額が生じた。 ただし、2月に参加が不可になった研修の旅費(37,280円)に関して、航空会社からの返金が4月以降となっている。これにより、返金額も2019年度の余剰分として2020年度予算に加算される見込みである。 2020度の使用計画として、海外調査が実施可能であればその費用に充て、実施困難であれば、情報収集に向けた物品の購入等で活用する。
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