2021 Fiscal Year Research-status Report
Cost-Benefit-Analysis on Regional Value of School Complex
Project/Area Number |
19K14143
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
高草木 伸 国立教育政策研究所, 文教施設研究センター, フェロー (30782627)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公共政策 / 費用便益分析 / 学校施設 / 複合化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域に開かれた学校づくりと施設の高機能化によって教育の質の向上を図ることできる「学校施設の機能の複合化」の効果を定量的に明らかにすることを目的としている。さらに、昨今の新型コロナウイルスの影響により、学校教育の現場において学校の物理的環境(施設・設備)の在り方の再考を根底から迫られる可能性があることから、物理的な複合施設という観点に加え、ICTを通じて地域や家庭等の学校外にヴァーチャルに開かれた学校づくりという視点も含めて分析を行うこととする。 令和3年度分としては、前年度に引き続き、「(1)文献調査によるデータの収集」「(2)先進事例の収集」を行った。(1)としては、学校施設の複合化及びICTを利用した効果を金銭価値により算出するため、その効果の測定方法の特定と、それを形にした調査票等について、その内容の充実を図った。また、測定を行うために必要となる先行論文の調査、データの収集等を引き続き行った。さらに所属する国立教育研究所内の学校施設に関する研究会に参加し、必要な情報収集を行った。(2)としては、学校施設の複合化を行っている地方公共団体やICTを活用して教育の充実を図っている学校のうち、協力を得られそうな学校をリストアップし、ウェブ上のホームページや各種報告書、論文等からその運営体制や複合化までの経緯、利用状況、運営費、建設費等に関する情報収集を行った。施設管理者や設置者である教育委員会等への対面でのインタビューは一部新型コロナウイルスの影響により困難となったが、所属する国立教育研究所内の学校施設に関する研究会を通じて、オンライン等も活用しつつ、必要な調査を行った。 今後は、引き続き、これら(1)、(2)から得られた情報・データを踏まえ、学校施設の複合化、ICTを通じた地域と学校の複合的運営の効果について、具体的な分析を進め、結果を取りまとめることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究内容は、「(1)文献調査によるデータの収集」「(2)先進事例の収集」である。(1)については効果の測定方法について文献により調査を行い、調査票を充実した。(2)については、現地調査など一部研究が困難となる部分があったが、先行論文やウェブページ等から費用等に関する情報を得ることができ、また、所属する国立教育研究所内の学校施設に関する研究会等を通じて、インタビュー調査を行うことができた。 今後はこれらの調査を継続しつつ、得られた情報を基に分析を行い、その結果を取りまとめることが可能である。 以上のことから、順調に研究が進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「(1)文献調査によるデータの収集」「(2)先進事例の収集」により収集した情報・データを踏まえ、分析を進める。具体的には、(1)によって特定した学校施設の複合化等の効果を測定するため手法を用いて、(2)において得られた学校の事例について、具体的な数値を当てはめて費用・効果の関係を算出することとする。その際、可能な限り現地調査を行い、インタビューに基づき実態を反映した情報を用いることとする。また、定量化が難しい部分があった場合には、(1)の文献調査により得られた知見により数値を推定し、データの不足を補いながら進めることとする。 さらに、可能であれば、海外の学校についてオンライン等によるインタビュー調査を行い、国内事例と比較分析を行い、学校施設の複合化及びICTを通じて地域や家庭等へヴァーチャルに開かれた学校づくりの今後の展望等について考察することとする。
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Causes of Carryover |
予定していた海外学校視察が新型コロナウイルスの影響により困難となったことから、海外旅費を使用する必要がなくなった。また、別途予定していた国内調査についても一部出張を行うことができなくなったため、執行残として残った。 次年度において、これら予定していた国内外の学校施設の調査を可能な限り行い、その結果を、文献調査等の結果と合わせて分析に用いる予定である。
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