2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on the Articulation and Quality Assurance System of Pupil from Diverse Educational Background between High School and University
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19K14144
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
花井 渉 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (60783107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高大接続 / 大学入学者選抜 / アドミッション・オフィサー / 専門性開発 / イギリス / 資格認証評価 / 質保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度(平成31年度)は、まず先行研究の収集・分析を行ない、そこから得られた知見に基づき、以下の論文一篇を発表した。 花井渉(2020)「イギリスにおける専門的なアドミッション・オフィサーの養成・研修に関する研究-アドミッションにおける専門性開発支援(SPA)に着目して-」、『大学入試センター研究紀要』、No.47、pp.1-12(査読付) イギリスでは、2004年に公表された「高等教育への公平なアドミッション」(通称:シュワルツ報告)によって、公平なアドミッションを実現するための5つの原則や各大学における中央アドミッション・オフィスの設置の必要性が示され、それまで各大学・学部レベルで行なわれてきた大学入学者選抜の統合が進められた。 そこで、大学・カレッジ入学サービス機構(UCAS)内に、新たな組織として、「アドミッションにおける専門性開発支援(SPA)」が設置され、アドミッション・オフィサーの専門性開発や研修を担うこととなった。SPAは、アドミッションにおける良い実践の実践例をまとめたテキストの作成や全国のアドミッション・オフィサーが情報交換を行なうためのプラットフォームづくりを行ない、それを通じて公平なアドミッションの実現を目指していた。しかし、SPAによって提供される情報は、一方的に与えられるものであり、各大学の実情やニーズを汲み取ることができず、2017年にはUCASに吸収され、SPAは解体されている。 本研究からこれまでのイギリスにおけるアドミッション・オフィスの設置に係る政策的・制度的な背景、アドミッション・オフィサーの養成・研修においては、公平なアドミッションに向けた5つの原則、国内におけるアドミッションに関連する実践例をまとめたテキストの作成・提供やアドミッション・オフィサー間の情報共有やネットワークの重要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度(平成31年度)においては、当初先行研究や関連資料の整理・分析を通じて、イギリスにおけるアドミッション・オフィス設置の政策的・制度的な背景やアドミッション・オフィサーの養成・研修の現状と課題を明らかにした上で、現地訪問調査を通じて、アドミッション・オフィサーの養成・研修プログラムやテキストの具体的な内容、その職務や誰がどのように実施しているのかを明らかにすることを計画していた。 しかし、年末からの新型コロナウィルスの世界的な流行に伴い、2020年3月に予定していた現地訪問調査が中止となったため、上記後半部分の「アドミッション・オフィサーの養成・研修プログラムやテキストの具体的な内容、その職務や誰がどのように実施しているのか」については、明らかにすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は継続的な文献研究を進めていくとともに、新型コロナウィルスの状況を見極めながら、2021年3月の現地訪問調査を目指す。現地訪問調査では、大学・カレッジ入学サービス機構(UCAS)へ訪問し、イギリスにおける資格認証評価に係るUCAS及びその機能、組織体制や全国統一資格ポイント換算表(UCASタリフ)の現在の利用状況や課題について、インタビュー調査を通じて明らかにする。また、2019年度に明らかにすることができなかったアドミッション・オフィサーの養成・研修の具体的な内容や誰がどのように実施しているのかについてもインタビュー調査で明らかにしたいと考えている。すでに2019年度に訪問する予定であったUCASのMark William氏とも連絡をとっており、訪問へ向けて、新型コロナウィルスの状況を見極めながら再調整を進めている。 また、もし状況の改善が見られず、イギリスへの渡航が困難な場合には、オンラインによるインタビュー調査を依頼し、実施することも想定している。 また、今年度はイギリスの高等教育アドミッションにおける公平性・公正性の概念に関する研究を進め、学会発表や論文作成を積極的に行なう。
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Causes of Carryover |
2019年度(平成31年度)は、当初2020年3月にイギリスへの現地訪問調査を計画していたが、新型コロナウィルスの世界的な流行及び訪問先であるイギリスのロックダウンにより、訪問することができず、次年度使用額が生じてしまった。 今年度は、新型コロナウィルスの状況を見極めながら、2021年3月の訪問を目指し、研究を進める。今年度は特に外国語文献の購入やオンラインでの現地との情報交換のために、パソコン機器の購入に予算を充てる予定である。
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