2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the Articulation and Quality Assurance System of Pupil from Diverse Educational Background between High School and University
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19K14144
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
花井 渉 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (60783107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高大接続 / アカデミック教育 / 職業教育 / IBCP / 国際バカロレア |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度(令和3年度)は、昨年度同様、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大に伴い、イギリスへの現地訪問調査が実施できなかった。そこで、まず先行研究の収集・分析を行ない、そこから得られた知見に基づき、以下の論文一篇を発表した。
Wataru Hanai, Hiroki Nakanishi, Naohiro Iida, Sayaka Mitarai, Masaaki Yanagida(2021)’Bridging the Academic-Vocational Divide in Secondary Education: A Curriculum Analysis of the International Baccalaureate’s Career-related Programme in England’, Journal of Research into IB Educatoin, Vol.5, pp.31-42
多様な学習背景をもつ生徒の学習の一環として、IB教育の一プログラムである、国際バカロレアキャリア関連プログラム(IBCP)に着目し、その学びが長年イギリスの教育制度において課題とされてきたアカデミック-職業ディバイドの解消にどのような影響を与えているのかについて検討を行なった。その結果、従来、アカデミックな教育か職業教育しか選択肢がなかった中、IBCPがアカデミックな科目と職業科目の両方を履修できるプログラムとして、新たな選択肢として機能していることが明らかになった。しかし、本研究はコロナ禍以前に実施された調査結果を整理した研究成果である。そのため、その後イギリスにおいてどのようにIBCPが展開し、大学入学者選抜の際にどの程度評価されているのかについて、多様な学習背景を持つ生徒の大学入学者選抜という視点から、その実態と課題を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度(令和3年度)においては、当初先行研究や関連資料の整理・分析を通じて、イギリスにおけるアドミッション・オフィス設置の政策的・制度的な背景やアドミッション・オフィサーの養成・研修の現状と課題を明らかにした上で、現地訪問調査を通じて、アドミッション・オフィサーの養成・研修プログラムやテキストの具体的な内容、その職務や誰がどのように実施しているのかを明らかにすることを計画していた。 しかし、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行に伴い、昨年度同様、現地訪問調査ができず、その後も1年間を通じて現地訪問調査を実施することができなかったため、「アドミッション・オフィサーの養成・研修プログラムやテキストの具体的な内容、その職務や誰がどのように実施しているのか」については、明らかにすることができなかった。 一方で、これまでの研究の蓄積を改めて論文(英語論文)としてまとめ、学会誌に掲載することができた。これにより、多様な学習背景を持つ生徒(特に国際バカロレアキャリア関連プログラム)の大学入学者選抜の際の認証評価に関する新たな課題を明確にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は継続的な文献研究を進めていくとともに、新型コロナウィルス感染症の状況を見極めながら、2022年9月の現地訪問調査を目指す。現地訪問調査では、大学・カレッジ入学サービス機構(UCAS)へ訪問し、イギリスにおける資格認証評価に係るUCAS及びその機能、組織体制や全国統一資格ポイント換算表(UCASタリフ)の現在の利用状況や課題について、インタビュー調査を通じて明らかにする。また、2020年度に明らかにすることができなかったアドミッション・オフィサーの養成・研修の具体的な内容や誰がどのように実施しているのか、アドミッション・オフィサーに求められる職能等についてもインタビュー調査で明らかにしたいと考えている。 また、もし状況の改善が見られず、イギリスへの渡航が困難な場合には、オンライン(Zoom利用)によるインタビュー調査を依頼し、実施することも想定している。
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Causes of Carryover |
2021年度(令和3年度)は、当初計画していたイギリスへの現地訪問調査が、新型コロナウィルスの世界的な流行及び訪問先であるイギリスのロックダウンにより、訪問することができず、次年度使用額が生じてしまった。 今年度は、新型コロナウィルスの状況を見極めながら、2022年9月の訪問を目指し、研究を進める予定である。
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