2020 Fiscal Year Research-status Report
Examination of factors necessary for practicing marital coparenting
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19K14146
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大島 聖美 茨城大学, 教育学研究科, 講師 (00710089)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 夫婦 / 親チーム / 幼児期の子ども / 半構造化面接 / 修正版グラウンデッド・セオリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は夫婦がチームとして育児家事を分担していく相互作用の過程を明らかにすることを目的に,幼児期の子どもを持つ夫婦21組を対象に半構造化面接を行ったデータを,修正版グラウンデッドセオリー法を用いて検討した。その結果,夫婦が【子育て初期の家庭観】を持ちつつ【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】を行う中で,【思い通りにいかないことが出て】きたり,そのために【お互いに察してほしいの悪循環】になったりしつつも,【葛藤を乗り越え】,徐々に【親チームになっていく】過程が明らかとなった。この結果から夫婦間の相互作用において,夫婦は【夫婦間ホメオスタシスを保つ努力】や【葛藤を乗り越える】という関係内の肯定的側面と【思い通りにいかないことが出てくる】や【お互いに察してほしいの悪循環】といった否定的側面を行き来しつつ,肯定的側面が否定的側面を上回る時,【親チームとなっていく】ことが示唆された。本研究では夫婦が親チームとなっていくプロセスを明らかにし,親チームになるまでの諸段階や危機,必要な要素について検討することができた。さらに,協力的な夫婦間コペアレンティングには<子の成長を感じる>という要素も必須であること,夫婦関係の質の中でも特にお互いへの配慮や共感といった要素の重要性が示唆された。また先行研究で指摘されていた通り,夫婦間コペアレンティングには高度なコミュニケーション能力,問題解決能力が必要となることが本研究でも示唆された。これらの力を夫婦は子育て前から子育て中にかけて身につけていくが,夫婦が孤立していてはそのような力を修得するのは難しい。特にこの孤立は<仕事による制約>によって増幅している傾向が本研究から見られたため,職場環境を含めて子育てを社会全体で担う制度の構築が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスによるオンライン授業対応等に追われ,論文作成に予想以上に時間がかかってしまった。そのため,当初2020年後期に予定していた質問紙調査を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度前期には,投稿した論文の査読対応と並行しながら,質問紙調査に向けて質問紙作成と予備調査を行う予定である。予備調査は近隣の幼稚園や保育園等に依頼しての実施を考えている。後期には夫婦200組程度を対象とした質問紙調査を業者に委託して実施する予定である。夫婦の質問紙調査を実施できる貴重な機会のため,内容を精査して丁寧に実施したい。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルス感染症のため国際学会に出席することができなかったため,未使用が生じた。一方で,当初は質問紙調査を手動で収集することも考えていたが,こちらもなるべく対面での実施依頼を避けた方が良いことから,業者に委託することを考えている。こちらには予想以上の金額がかかるため,旅費として計上していたものを調査実施費用に回す予定である。
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Research Products
(3 results)