2020 Fiscal Year Annual Research Report
保育所における与薬の現状と薬局・薬剤師によるサポートシステムの構築・その評価
Project/Area Number |
19K14147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳 奈津代 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (40837499)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 保育所 / 与薬 / 保育士 / 薬剤師 / 保護者 / 支援 / 連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育所で園児に薬を服用させること(与薬)が、現場の保育士に負担となっていることや、適切ではない与薬の事例が報告されてきたことから、本研究では、地域の人々の健康をサポートする薬剤師による保育所の与薬支援の可能性について検討を行った。 昨年度に実施した、保育園児をもつ母親(600名)へのインターネット調査と、保育施設への郵送調査(東京都内の認可保育所、認証保育所1537施設が回答)においても、主な与薬者は担当保育士であり、「間違えてはいけないとの思いから緊張感が続く」など、保育士の多くは不安や負担を感じていた。保護者の気軽な与薬依頼も明らかとなり、保護者への働きがけも重要であると考えられた。 与薬支援の可能性を検討するため、これまでの調査結果をもとに50項目(①薬剤師の薬局での対応・調剤の工夫、②保育士が活用できるわかりやすい説明書の保護者経由での提供、③薬剤師から保育士への教育研修・知識の提供、④保育所と薬局の地域での連携、⑤与薬や体調不良時の対応等に関する薬局での保護者への指導;各10項目)を作成し、与薬経験のある保育士(482名)と未就学児への投薬経験のある薬剤師(558名)にインターネット調査を実施した。その結果、保育士がしてほしいと「思う」と回答し、かつ薬剤師が「実際にできると思う」と回答した割合が高かったのは、⑤与薬等に関する保護者への指導であり、支援できる可能性がもっとも高い項目と考えられた。「可能な限り1日2回処方への相談」は保育士の半数近くが望んでいたものの、実際にできると思うと回答した薬剤師は2割に満たなかった。50項目回答後の質問では、保育士の63%が薬剤師に支援してほしいと「とても思う」・「少し思う」、薬剤師の65%が保育士を支援できると「とても思う」・「少し思う」と回答し、具体的な支援項目とともに、保育士の与薬に対する薬剤師の支援の可能性が示唆された。
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