2021 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期から学齢期の睡眠パターンとその遷移が認知発達に与える影響
Project/Area Number |
19K14150
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 晴香 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 技術補佐員 (90836529)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 睡眠 / 潜在クラス分析 / 認知機能 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Study に参加する児を対象に、乳児期(10ヶ月)、幼児期(32ヶ月)、学齢期(9歳)の3つの時点における睡眠を縦断的に調べたとき、各個人はどのような睡眠の軌跡をたどるのか、睡眠の軌跡は何通りのクラスに分けられるのか、またそれらの軌跡クラスは学齢期の認知機能とどのように関連するのかを検討することを目的とした。睡眠について、睡眠時間と入眠時刻の2つの変数を用いて、潜在クラス成長分析を実施し、10ヶ月から9歳までのこれらの軌跡クラスを特定した。睡眠時間、入眠時刻とも、10ヶ月時点での差が明確で、9歳にかけて平均に集約される軌跡となった。これらの軌跡クラスと、9歳時点の認知機能(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fourth Edition; WISC-Ⅳを用いて測定)との関連を調べた結果、睡眠時間、入眠時刻とも平均的な群と比較して、平均睡眠時間・遅寝群は9歳時点の処理速度の得点が低かった(β = -.08, p = .02)。また、平均群と比較して、短時間睡眠・遅寝群でも、9歳時点の処理速度の得点が低かった(β = -.06, p = .049)。これらの結果から、10ヶ月時点で遅寝であることは、処理速度に関わる認知機能を下げる効果をもつ可能性が示唆された。しかし、10ヶ月時点での遅寝は、睡眠障害と関連する神経発達症特性(ASDやADHDの特性)と関連している可能性がある。そこで、9歳時点で測定されたASD特性とADHD特性をそれぞれ解析モデルに含め、統制した結果、上記の関連は有意ではなくなった。このことは、睡眠と認知機能の関連には神経発達症の特性が交絡していることを示唆する。今後はこれらの結果について、論文執筆を継続する。
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Research Products
(1 results)