2019 Fiscal Year Research-status Report
幼い子どもをもつ母親における「育児への感情転換モデル」の実証研究
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19K14154
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
金 娟鏡 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (20709852)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 育児への感情 / 尺度作成 / 子育て期 / 育児支援 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子育て期の母親が抱く育児への感情を肯定的か否定的かの二者択一ではなく、両感情の構造や相互関連性を明らかにし、育児支援に有効な感情モデルを提供することを目的とするものである。 そこで、研究開始の2019年度は、育児への感情に関する研究の動向を把握するため、日本家族心理学会研修会に参加し、児童虐待に至る感情や心理的メカニズムに関する知見を収集した。さらにOMEP Asia Pacific Regional Conference 2019大会に参加し、育児に関する文化的特性を踏まえた情報を収集した。また、国会図書館が所蔵する雑誌記事索引データベースを用いて、1980年から2018年までの期間に、母親の育児へ感情にかかわるシソーラス用語を表題または抄録に含んだ原著論文、資料・研究ノート、実践報告を精読したうえで、調査対象、調査方法等を一覧表にまとめた。同時に、調査に用いられた項目の抽出を行ったが、否定的感情を取り上げたものが圧倒的に多く、肯定的感情を取り上げたものはわずかであった。そのため、肯定的感情については、該当する文献に記載されている内容から肯定的感情が読み取れる部分を初回項目プールとして取り出し、類似したもの同士を整理する手続きを経て、先行研究からの項目プール全体に含むこととした。これらに基づき、母親の育児への肯定的および否定的感情を測定するために必要な尺度項目を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尺度項目の検討に時間がかかり、尺度全体の統計的妥当性および信頼性を確認するまでは至らなかった。しかし、尺度を構成する項目の抽出が進んでいることから、次年度は量的調査を通して、育児への感情尺度を洗練させていくことができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、子育て期の母親を対象としたインタビュー調査を行い、実際の生活の中において、どのような状況下で育児への肯定的および否定的感情が現れるのか、またどのような状況によって両感情の変化が起こるのかといったメカニズムを対象者の語りを通じて質的に検討する計画である。
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Causes of Carryover |
量的調査に必要な消耗品代が未使用だったため、次年度使用額が生じた。2020年度の計画に量的調査を加え、執行していく予定である。
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