2022 Fiscal Year Research-status Report
幼い子どもをもつ母親における「育児への感情転換モデル」の実証研究
Project/Area Number |
19K14154
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
金 娟鏡 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (20709852)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 育児 / 感情語 / 虐待感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、育児に対する感情の全体像および関連要因を明らかにすることで、虐待防止など育児支援に役立つ有効な知見を提供することを目的とするものである。 昨年度は、育児に対してポジティブ感情からネガティブ感情へ、またネガティブ感情からポジティブ感情へと転換するエピソードを収集し、感情転換が見られた育児場面を質的に検討した。なぜならば、育児についての感情の相互転換は、抽象的な概念をもとに生じるのではなく、具体的な育児場面と結びついているからである。また、これらの感情転換に関連した36個の感情語を抽出できた。本年度(2022年度)は、育児に対するポジティブ感情、ネガティブ感情の相互転換が子どもへの不適切な関わり方、すなわち児童虐待にどのようにつながるかを探るため、国会図書館が所蔵する雑誌記事索引データベースを用いて、虐待に関するシソーラス用語を表題または抄録に含んだ先行研究を検討した。その結果、虐待については、虐待相当行為、虐待行為懸念、虐待的行為、虐待的育児、虐待的養育行動、虐待的係わり、虐待的関係、虐待不安など複数の用語が散見されるため、用語と概念の整理を行った上で、本研究では、感情変換が見られた育児場面での行為が虐待に相当するか否かを感じ取る力を虐待感受性と名づけ、先行研究を参考に虐待感受性を測定する20項目を選定した。また、虐待感受性と上記の感情語との関連を探るための調査票を作成し、定量的に検証する準備を整えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、当初予定していた対面での調査実施に制約が生じた。今後の状況に応じて、実施時期および方法を見直しつつ、研究を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍も収束の傾向が見えてきたので、実施できなかった質問紙調査を対面で行う。また、本研究のこれまでの成果をまとめ、育児への感情を総合的に説明できるモデル構築を試みる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、人件費・謝金等の使用がなかったため、次年度使用額が生じた。次年度はこの残額を調査協力者への謝金、消耗品費として使う予定である。
|