2019 Fiscal Year Research-status Report
日常生活行動の発達における群生環境の時空間的制約と資源に関する生態学的検討
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19K14159
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
青山 慶 岩手大学, 教育学部, 准教授 (60736172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日常生活行動の発達 / アフォーダンス / 生態学的アプローチ / ライフログ / 群生環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常生活行動が発達する場所である住宅および保育施設を生態学的に人の群生環境として捉えることによって、環境に埋め込まれた他者性が行動発達に及ぼす影響を明らかにすることである。第1に、ライフログビデオデータを用いて、群生環境としての住宅や保育施設の時空間的な構造を抽出すること、第2に、群生環境において時空間的に共存する複数の日常生活行動が相互に制約/資源となるような関係性を解明すること、第3に、日常生活行動の発達を促す環境デザインについての示唆を得ることである。 2019年度は、群生環境の時空間的構造を分析可能にするために、本研究が着目する環境の記述単位を基準としてデータベースを構築することを目標としていたが、2家庭でのデータ取得の準備を進め、1家庭においてデータの取得を開始することができた。2020年度にはもう1家庭でのデータ取得を開始する予定である。 今後の分析に向けて、取得済データを用いて予備的分析を行った。それらの結果を、研究協力者と共有しデータ取得システムの構築と分析方法について検討した。その結果、これまでの単眼のビデオデータ取得システムから、奥行きが再構成可能な複眼式のデータ取得システムへと、また、より調査協力者の負担の少ない音声による操作が可能なシステムへと発展させることができたことが収穫であった。 また、それらの検討による分析結果の一部は、日本質的心理学会第16回大会で「初期コミュニケーション発達と関係する複数の物のレイアウトの分析」として発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実生活環境下でのライフログデータの取得における大きな課題の一つは、調査協力者の日々の生活を阻害せず、長期間あるいは高密度でデータを取得するシステムの構築にある。そのため、1家庭ではあるがデータ取得を開始し、継続的にデータが取得できている点、また、取得済みのデータもあわせて分析を行い、研究協力者らと検討する機会をもてたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に取得を開始しているデータに関しては、引き続きのデータ蓄積と、データベース化を進める。また、新たに1件のデータ取得開始を予定通り進めることを目指す。 ただし、日常生活環境を対象とする本研究には、現在の新型コロナウイルスによる影響は多大であることが予想される。そのため、データ取得の中止等も起こりえることを想定し、既取得データ等での代用や、分析方法の調整など、柔軟な対応を準備する必要がある。
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Causes of Carryover |
年度末に予定されていた出張が新型コロナウイルスの影響によりキャンセルされ、その代わりに機材の調達等を行ったため差額が生じた。次年度以降の状況をみながら、可能な限り当初の研究計画にのっとって適切に執行する予定である。
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