2021 Fiscal Year Research-status Report
日常生活行動の発達における群生環境の時空間的制約と資源に関する生態学的検討
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19K14159
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
青山 慶 岩手大学, 教育学部, 准教授 (60736172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アフォーダンス / 配置換え / エンカウンター / 群生環境 / 日常生活行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常生活行動が発達する場所である住宅および保育施設を生態学的に人の群生環境として捉えることによって、環境に埋め込まれた他者性が行動発達に及ぼす影響を明らかにすることである。第1に、ライフログビデオデータを用いて、群生環境としての住宅や保育施設の時空間的な構造を抽出すること、第2に、群生環境において時空間的に共存する複数の日常生活行動が相互に制約/資源となるような関係性を解明すること、第3に、日常生活行動の発達を促す環境デザインについての示唆を得ることである。 2021年度の研究実績は以下の通りである。前年度から引き続いてライフログビデオデータの構築および分析を行った。コロナ禍の影響で、研究協力家庭および施設に出向いての機材の調整等について困難があったが、データベースの構築は順調に進んでいる。また、分析結果の一部に関しては日本認知科学会第38回大会(「アフォーダンス:エンカウンターとその制御」)、日本認知科学会研究分科会間合い研究会(「「間合い」と「出会い」:行動はなにを制御しようとしているのか」)において発表された。また、分析から得られた知見を活かし書籍の執筆を分担(『家庭における活動と学び』「 生活行動を通して発見する場所の意味――住み込まれた場所と新たに出会うこと」)で行うとともに、本研究課題に関係の深い理論的研究書(ティム・インゴルド『生きていること』)の監訳および翻訳も行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、蓄積されたデータベースの分析に着手し、その一部は学会において発表された。また、本研究課題の理論的背景となるティム・インゴルドの『生きていること(Being Alive)』の翻訳出版を行うことができたという点においては、一定の成果を得た。ただし、昨年度から続くコロナ禍の影響もあり、当初の予定からはおよそ一年遅れての進行となっているため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、取得されたデータベースの分析および分析結果の取りまとめを行うとともに、雑誌論文としてまとめることを目標として研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響から学会がオンラインになったことや研究協力施設等の訪問が見送られたことから出張旅費がかからなかったことなどから、次年度使用額が生じた。2022年度には、2021年度に見送られた施設訪問および学会参加などを行うことを使用計画とする。
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