2022 Fiscal Year Research-status Report
日常生活行動の発達における群生環境の時空間的制約と資源に関する生態学的検討
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19K14159
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
青山 慶 岩手大学, 教育学部, 准教授 (60736172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達システム / 発達カスケード / 社会的アフォーダンス / 新実在論 / 蓋然的後成説 / 根本的経験論 / エンカウンター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、環境に埋め込まれた他者性が日常生活行動の発達に及ぼす影響を明らかにすることを目的として実施されている。そのため本研究課題では、第1に、ライフログビデオデータを用いて、群生環境としての住宅や保育施設の時空間的な構造を抽出すること、第2に、群生環境において時空間的に共存する複数の日常生活行動が相互に制約/資源となるような関係性を解明すること、第3に、日常生活行動の発達を促す環境デザインについての示唆を得ることを研究のステップとして設定した。 2022年度の研究実績は以下の通りである。前年度から引き続いてビデオデータの縦断的なライフログデータ構築を行い、分析に向けて質と量の両面において十分な準備が整った。データベースを用いて、ELAN等の動画分析用ソフトウェアを用いて分析を進めた。これらの分析の結果について、日本発達心理学会第34回大会において、シンポジウム「社会的アフォーダンスを問う:アカデミアと実社会との対話に向けて」で「社会的なことの知覚と行動の場」および、シンポジウム「発達カスケード現象の示唆:変化と経験の複雑性」で「もうひとつの経験論の系譜:徹底した経験論(Radical Empiricism)の継承」として口頭発表するとともに、登壇者および会場と議論を行った。また、本研究課題から得られた知見を活かし、生態心理学研究に「発達の資源としてのバリア:大崎晴地氏インタビュー」が公刊されされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、2022年度をもって終了予定であった。分析結果および理論的検討の結果は、学会および学会誌において発表されており、一定の成果を得たといえる。その一方で、期間中に新型コロナウィルスの影響によって一部の研究遂行に支障をきたし、研究課題を完了することができなかったため「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、既取得データの分析を完了するとともに、分析結果の取りまとめを行う予定である。引き続き雑誌論文としてまとめることを目標として研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響から研究協力施設等の訪問が見送られたことなどから、研究の取りまとめに支障が生じたために、次年度使用額が生じた。2023年度には、2022年度に見送られた施設訪問および論文投稿にかかる経費などを使用計画とする。
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