2020 Fiscal Year Research-status Report
ASDおよびADHDの幼児とその母親の情緒応答性評価による強みと脆弱性療育の把握
Project/Area Number |
19K14164
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
金平 希 (野津山希) 福山大学, 人間文化学部, 講師 (10550965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情緒応答性 / 親子関係 / 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / 注意欠如多動症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では幼少期の母子関係支援が急務であるASD児およびADHD児とその母親の情緒応答性の特徴についてそれぞれ把握することを目的としている。 2020年度前半は,コロナウィルス感染拡大の影響で,研究実施が困難な状況となり,情緒応答性についての文献検討や遠隔での情緒応答性尺度(EAS)評価訓練を中心に行い,実際の研究実施は行えなかった。 2020年度後半は,療育の1施設のみ研究協力の承諾を得たため,9組の親子を対象に約30分の観察(禁止課題場面,自由遊び場面,親子分離場面,片付け場面,課題遊び場面,おやつ場面)を実施し,その録画をもとに,情緒応答性評価の認定を受けた評価者が評価を行った。その結果,子どもとのやりとりの中で,こうすればうまく遊べるというような提案や枠を設定するといった「構造化」は高い一方で,子どもの活動に手を出しすぎずリードに従うといった「非侵入」がやや低かった。また,質問紙調査による親のストレスが親の「非敵意」と関係していた。 一方,過去(2017年)に金平が実施した定型発達の母子の情緒応答性研究の結果について, 第32回日本発達心理学会でその結果の一部を発表した。また,国内の情緒応答性研究の現状と課題についてレビュー研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度前半は,コロナウィルス感染拡大の影響で,直接対面で研究をすることが難しかった。後半は,療育の1施設のみ研究協力の承諾を得たため,9組の親子を対象に情緒応答性を評価し,研究が実施できた。このような状況のため,当初15組を予定していたASDおよびADHD児とその母親は,ASD3組,ADHD2組と少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度で,2021年度に実施する研究協力施設(療育施設1園や児童館1園)への参加者募集については内諾がとれている。また情緒応答性尺度の評価認定が取得できる予定である。そこで,2021年度は協力施設で参加者を募集し,定型発達児およびASD児・ADHD児とその母親を対象にEA研究を進めていきたい。 ただし、コロナウィルスの影響で,当初の計画より実施人数が少なくなるため,医学的診断名のある者が少ない可能性がある。そのため,実施したSDQやADHD-R尺度のカットオフでの検討やCHEDY尺度での障害特性の強さに関する検討に変更する可能性がある。あるいは,これまで金平で蓄積した療育の情緒応答性のデータと合わせて分析を実施することを考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症により,研究実施数が少なく,また研究関連の打ち合わせや学会が遠隔となったため,旅費を使用しなかったためである。次年度はコロナの様子をうかがいながら,研究を実施し,それに伴う物品購入や人件費・謝金として計画的に使用していく。
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