2020 Fiscal Year Research-status Report
保育内容5領域に関する保育者効力感と保幼小接続を意識したケアリングの関連性の検討
Project/Area Number |
19K14166
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
井上 祐子 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 准教授 (80713700)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エンパワメント / コンピテンシー / 保育者 / 保育内容5領域 / 育みたい資質・能力 / 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的について、研究者間の合意のもと、保育者効力感はエンパワメントに、ケアリングはコンピテンシーに用いる概念を変更し、保育内容5領域に関するエンパワメントが、保幼小接続を意識したコンピテンシーにどのようなメカニズムで関連しているのか明らかにすることとした。 令和2年度においては、保育内容5領域に関する保育者のエンパワメント測定尺度の開発、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発、及び幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発に取り組むとともに、保育内容5領域に関するエンパワメントと、保幼小接続を意識したコンピテンシーの関連性について検討を行った。 各測定尺度の開発研究では、因子構造の側面から見た構成概念妥当性を確認的因子分析にて検討した。適合性の判定には、適合度指標RMSEAとCFIを採用し、パラメータの推定は重み付け最小二乗法の拡張法(WLSMV)を採用した。なお、分析にはSPSS Statistics 22.0、M-Plus7.2を使用した。統計解析には回収された316人の調査票のうち、回答に欠損を有さない297人のデータを使用した。 分析の結果、各測定尺度の開発研究において仮定した因子構造モデルは、保育内容5領域に関する保育者のエンパワメント測定尺度では、RMSEA=0.046、CFI=0.977、cronbach's α=0.930、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度では、RMSEA=0.088,CFI=0.939, cronbach's α=0.865、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する保育者のコンピテンシー測定尺度では、RMSEA=0.044、CFI=0.977, cronbach's α=0.960とデータに適合しており、各概念を数量化することの根拠が支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
保育内容5領域に関する保育者のエンパワメント測定尺度、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度、及び幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の各開発研究において仮定した因子構造モデルはデータに適合していることから、保育内容5領域に関する保育者のエンパワメント、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー、及び幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する保育者のコンピテンシーの概念を数量化することの根拠が支持されたといえる。 しかし、保育内容5領域に関するエンパワメント、及び保幼小接続を意識したコンピテンシーについて、因果モデルでは独立変数から従属変数への因子負荷量が高かった。また、媒介モデルにおいても、媒介変数から従属変数への因子負荷量が高かった。 上記から、保育内容5領域に関するエンパワメントが、保幼小接続を意識したコンピテンシーにどのようなメカニズムで関連しているのか、引き続き分析を継続する必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
因果モデルにおける独立変数から従属変数への因子負荷量、及び媒介モデルにおける媒介変数から従属変数への因子負荷量の高さに対し、保育内容5領域に関する保育者のエンパワメント測定尺度の開発、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発、及び幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発において、尺度の圧縮を試みることによって、引き続き、因果モデル、及び媒介モデルの検証に取り組む。
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Causes of Carryover |
令和2年度に、(1)保育内容5領域、(2)育みたい資質・能力、(3)幼児期の終わりまでに育ってほしい姿等に関する統計解析を行い、その結果を報告書にまとめ、研究対象者へ返送する準備を始める予定であったが、因果モデル、及び媒介モデルの再検証が必要となったため、次年度使用額が生じた。 令和3年度も引き続き、因果モデル、及び媒介モデルの再検証に取り組むこととし、次年度使用額はその経費に充てることとしたい。
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