2021 Fiscal Year Research-status Report
保育内容5領域に関する保育者効力感と保幼小接続を意識したケアリングの関連性の検討
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19K14166
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
井上 祐子 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 准教授 (80713700)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保育者 / コンピテンシー / 尺度開発 / 確認的因子分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的について、研究者間の合意のもと、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発、及び幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発に焦点を当てて取り組むこととした。 令和3年度においては、主に育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発に取り組んだ。解析方法では、まず平均値と標準偏差を算出し、天井効果と床効果を検討した。次に項目内容の冗長性を検討するため、項目間の相関がr≧0.7である組み合わせの有無を検討した。その結果を踏まえて、研究者間でさらなる内容的妥当性の検討を行い、最終的には因子の解釈可能性を考慮して削除する項目を決めた。その後、前記方法に従って修正された育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の因子構造の構成概念妥当性を確認的因子分析にて、信頼性をCronbachのα信頼性係数にて検討した。適合性の判定にはRMSEAとCFIを採用し、パラメータの推定は重み付け最小二乗法の拡張法を採用した。なお、分析にはSPSS Statistics 22.0、M-Plus7.2を使用した。統計解析には回収された316人の調査票のうち、回答に欠損を有さない297人のデータを使用した。 分析の結果、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の開発研究において仮定した因子構造モデルは、RMSEA=0.088、CFI=0.939、cronbach's α=0.865とデータに適合しており、概念を数量化することの根拠が支持された。また、「育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー」から3つの下位因子への因子負荷量は0.837~0.930、3つの下位因子(潜在変数)から15の質問項目(観測変数)への因子負荷量は0.525~0.861であり、すべて統計学的に有意であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析方法について、これまで天井効果と床効果を検討し、項目間の相関係数がr≧0.7である組み合わせの有無を踏まえて尺度の圧縮を試みた。この結果、29項目のうち、21項目において天井効果が見られたが、因子の解釈可能性を考慮して14項目を削除対象とし、最終的に15項目を残した。前記検討を通じて、育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度は、「知識・技能の基礎を育む保育者のコンピテンシー(5項目)」「思考力、判断力、表現力等の基礎を育む保育者のコンピテンシー(5項目)」「学びに向かう力・人間性等を育む保育者のコンピテンシー(5項目)」を下位因子とする15項目3因子二次因子構造に修正された。 上記の過程について、補助事業の目的をより精緻に達成するため、引き続き解析を継続する必要があると考えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
解析方法について、ポリコリック相関係数を算出することによって、再度、尺度の圧縮を試みる。これにより、観測変数の項目数が変わる可能性があることから、修正された育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度の因子構造の構成概念妥当性を確認的因子分析にて、信頼性をCronbachのα信頼性係数にて再検討する。
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Causes of Carryover |
令和3年度に、(1) 育みたい資質・能力に関する保育者のコンピテンシー測定尺度、(2) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に関する保育者のコンピテンシー測定尺度について統計解析を行い、その結果を報告書にまとめ、研究対象者へ返送する準備を始める予定であった。しかし、再度、尺度の圧縮を試み、構成概念妥当性を確認的因子分析にて検討するために、次年度使用額が生じた。 令和4年度も引き続き解析に取り組むこととし、次年度使用額はその経費に充てることとしたい。
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