2021 Fiscal Year Annual Research Report
Correlations between father-child or mother-child interaction and brain structure in the characteristics of children.
Project/Area Number |
19K14171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 路子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (50750064)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子ども / 母子相互作用 / 父子相互作用 / 灰白質 / 白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもを対象とした研究では、子どもの向社会性の獲得には、母親だけではなく父親の応答や働きかけが重要であるとの報告があり、父親の子どもとのかかわりの重要性が示唆されている。本研究では、3歳~6歳( M=4.6±0.7)の定型発達の男児17名、ASDと診断がある男児13名、それぞれの母親30名、父親15名が参加した。遊び場面は、母親のアイコンタクトと随伴性(逆模倣、微笑み、返答)及び父親のアイコンタクトと随伴性をコーディングした。次に、母親の脳画像および父親の脳画像をMRIで撮像し重回帰分析を行った。独立変数は、年齢、アイコンタクト/随伴性の回数とし、従属変数は、灰白質量(GMV)/白質量(WMV)とした。最後に定型発達児の母親群、父親郡、ASD児の母親群、母親郡に分け群間比較を行った。その結果、母親における随伴性とGMV/WMVとの間に有意な相関は見られなかったが、閾値を下げクラスターサイズで解析したところ、伴性と右楔前部におけるGMVとの間に有意な正の傾向がみられた(p<0.001unc.)。右楔前部は、体験したことを感情的・認知的に統合する部位とされ、幸福感のようなポジティブな感情の神経基盤であることが示唆されている(Sato et al.,2015) 。したがって、遊び場面において、母親によるアイコンタクトや随伴性の多い働きかけは、母親にとっての幸福感の指標となる可能性を脳科学の側面から明らかにできる可能性が示唆された。一方、右楔前部に関心領域をおき、定型発達児を持つ母親とASD児をもつ母親との群間比較において、随伴性とGMV/WMVとの間に有意な相関は見られなかった。つまり、母親の幸福度には、子どもに発達障害が有るか否かによって差がない可能性が示唆された。今後の展望として、父親の研究協力を増やすことで父子相互作用について明らかにしていきたい。
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