2019 Fiscal Year Research-status Report
子どもの発達段階を考慮したスマート光環境の創成:こども園における夕方保育を事例に
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19K14173
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小崎 美希 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (50754420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光環境 / 子ども / 発達段階 / こども園 / 生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで発達心理学分野や学校建築分野において、子どもの学習環境に関する研究は多くなされてきた。一方で近年の共働き世帯の増加から保育園・託児所など長時間子どもが滞在する空間が増えている。サーカディアンリズムを整える上で光環境は重要な役割を果たしており、子どもの成長・教育においても影響を考慮することは重要である。生活の場所としてのこども園を検討し、生活シーンや時間帯に応じた適切な光環境の提案をすることは急務である。 これまでに、大学に隣接するこども園の協力を得て、園内の光環境の測定を行った。異なる複数の時間帯で測定をし、その結果を用いて照明シミュレーション上で再現した。照明シミュレーション上で再現が確認できると、測定時以外の光環境の状態の確認も可能となる。これによって一年での変化を幅を検討することができる。可能であれば今後も季節を変化させて測定を実施し、シミュレーションの精度を向上させていく。測定を通して学習環境としての評価を行うとともに、生活の場としての可能性を検討することができる。学習環境としては机の明るさが確保されている必要があるが、保育環境としては午睡など生活の場として光環境を整える必要がある。実施される様々な行為に応じて必要な光環境が確保できているのか細かな検討を進めている。また教員や保護者へのヒヤリングを行い、光環境改善計画に結び付く意見集約を行った。 さらに国際会議への出席を通して国際的な基準に関する意見交換を行うとともに、マンハッタンにあるこども博物館を見学し、こどもの学びの光環境の多様性について多大な示唆を得た。日本の教育環境としては、机での学習を基本としているが、子どもは体を動かしながら様々な環境で多くを学ぶことができると体感した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際会議への出席やこども博物館の見学から多くの示唆を得ることができた。日本では、作業性や視認性の観点から均一に照らした空間での学びを重視するが、海外では多様な空間での子ども教育がなされており、空間に応じた光環境の設定がなされていることがわかった。 日本での実態調査として、こども園の光環境の現状調査を実施することができた。学習空間を主としているため、必要な明るさが確保されていることが分かったが、作業内容に応じて照明環境を工夫する余地があることも分かった。 また教員へのヒヤリングから子供の数の変化や使用空間の変化など夕方の保育の重要性や検討すべき点などを洗い出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度明らかになった夕方保育の重要性や問題点を踏まえて、光環境の改善計画を立案する。専門家の意見を踏まえながら計画を修正し、実施していく。改修前のこどもの遊びの記録がコロナの影響により難しくなる可能性がある。動画による確認など子どもとの直接の接触がない形での実施が可能か検討を進める。 改修後の調査も同様に、子どもへの配慮を最優先に研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
国際学会への出席を行ったが、当初予定していた額よりも安価での滞在が可能となった。 また機器の購入も、協力を得ているこども園との相談の結果、2019年度の購入を見送ることとした。2020年度には機器の購入を進められると考えている。
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