2022 Fiscal Year Research-status Report
養育者の絵本選択と子どもとのやりとりに関する実証的研究
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19K14180
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
齋藤 有 聖徳大学, 教育学部, 准教授 (60732352)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 絵本選択の発達差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、絵本選択と絵本を介したやりとりの質の関連を明らかにするものである。令和4年度の実績としては、令和3年度実施のwebデータ[全国の長子が0~5歳児(各50名)の母親(20~40代)300名から収集]を発達の視点で整理した結果を述べる。まず、絵本選択の観点で発達差があったのは「季節感」のみで、0.1歳児では「注目しない」が、2歳児以上では「注目する」が多かった。そして絵本選択でもっとも注目するのは0歳児のみ「絵や色彩」で、1~5歳児では「内容やテーマ」、もっとも重視するのは0~5歳児いずれも「子の現在の興味に合っているか」と発達差はほとんど見られなかった。絵本の読み方は「子どものペースで読む」が4・5歳児より1歳児、「丁寧に読む」が0歳児より4歳児、「質問したり教えたりして読む」は0歳児より1~5歳児、「読めるところは読ませる」は0歳児より2歳児、4・5歳児、「読むページや回数を約束してから読む」は0歳児より3~5歳児でよりあてはまっていた。絵本への期待も「スキンシップできる」が0歳児よりも4歳児、「子どもの理解が深まる」「新しい知識や教養を身に付けられる」「本を好きになる」「あなたがリラックスできる」が0歳児より5歳児、「想像力をふくらませられる」が0歳児より4・5歳児、「スムーズに寝てくれる」が0・2歳児より4歳児で有意に高い特徴が見られたが、こうした違いは、対象となった家庭の多くが1歳前から絵本を読んでいるという実態からも、母親が目の前の子どもの姿を考えつつ絵本選択してやりとりしてきたプロセスを反映したものと考えられる。さらに、日常読む絵本の選択は、0~2歳児は母親が多かったが、3~5歳児では子ども自身が多く、絵本選択の主体の発達的変化も推察された。今後はこうした絵本選択と絵本を介したやりとりの発達的変化の実態とその詳細を面接調査等からさらに検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年度は令和3年度に収集したweb調査データの引き続きの分析しかできておらず、予定していた研究課題に関する新規のデータ収集(面接調査・観察調査)を実施することができなかったため。また、研究成果の発表も滞っていることから進捗は遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、令和3年度および令和4年度のweb調査データの分析結果について、学会発表を行っていきたい。また、そこでの議論をふまえつつ、残りの予算を使って新規データの収集および分析を行い、研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度は調査を実施することができず、予算を使った研究ができなかったため。令和5年度は調査会社に依頼をしている絵本選択に関する面接調査および絵本を介したやりとりに関する観察調査を実施して、助成金を使用する予定である。
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