2023 Fiscal Year Annual Research Report
4歳児積み木場面における積み木の操作と物語生成に関する検討
Project/Area Number |
19K14183
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
宮田 まり子 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (50350343)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 積み木 / 4歳児 / 相互行為 / 物語の生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、園生活における4歳児が場を形成した後に協働して展開していくために必要な物語生成について,長期的な観察調査からの実証的検討を行なうことを目的としている。宮田(2013,2014)は、物的環境として園におかれた積み木に着目し,それらが3歳児の相互行為を促進し,他児の意図を理解し,場を形成して参加者を得る等して協働への過程を経ることを示している。一方で、4歳児であったとしても他児との相互行為の継続は難しく,協働して物語を生成する展開に至ることは少ない。よって本研究では,4歳児クラス積み木場面において,積み木の操作とそれに伴う構築物の変化が,どのような発話を促進し,結果場面の継続と展開を支える遊びの物語を生成させているかについて検討を行なった。 結果、4歳児積み木場面では、イメージが共有できる積み木以外の物を必要とすることが示唆された。4歳児では、イメージを促進する物、イメージを象徴する物があることにより、保育者の介入はなくても他者と場を共有し、積み木場面を継続することができる。一方、そうしたイメージが象徴される物が無い場合は、他者との物語生成は難しく、細切れの物語が繰り返されるか、あるいは積み木の場での相互行為を中断し、物を作り出す行為が促進されていた。また積み木は、4歳児積み木場面においてイメージを見立てるものになり得ない場合が多く確認された。 これらのことは、4歳児が他者との世界づくりを継続させていく際にいつ何を手掛かりとしていくかを表している。つまり、4歳児は他者との協働において、共有すべきことを理解している。また、4歳児積み木場面における保育者の援助は、イメージを表現する素材と道具、そして物を作り上げる技術を持つために向けられることが重要である可能性が示唆された。
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