2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14184
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
多々良 俊哉 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (90804401)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 屈折度 / 屈折異常 / 弱視 / 小児 / 出生時体重 / 在胎週数 / 三歳児健康診査 / フォトレフラクション法 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期の屈折異常は弱視の原因の1つである。屈折異常の原因には遺伝因子と環境因子の両面があり,環境因子に関しては近業時間や屋外活動の時間が屈折度に影響を与えることが明らかとなっている。これら以外の因子が屈折度に与える影響に関しては,様々な可能性が報告されているものの一定の見解が得られていない。 新潟県A市の三歳児健康診査における視覚検査に,弱視の早期発見を目的とし屈折検査を導入した。本研究では健診時に測定する屈折度と出生時体重と在胎週数,児の生活環境との関係性について検討をしている。2019年度にはA市の3歳児411名の屈折度,出生時体重,在胎週数のデータをを得た。2020年度には屈折度と出生時体重,在胎週数との関係性を解析した。その結果,3歳時点では屈折度と出生時体重,在胎週数との関係はなかった。出生直後の児に対しては出生時体重によって屈折異常スクリーニングが可能であるとの報告されているものの,3歳時点では出生時の情報から屈折異常のスクリーニングはできないことが明らかとなった。411名の児の右眼の等価球面度数の平均値 [95% confidence interval] は+0.34 [+0.28-+0.41] Dであり,尖度は25.7と正視付近に極端に鋭いピークを持つ結果となった。眼軸長の伸長に対して角膜や水晶体の屈折変化で補う正視化現象があり,角膜の代償は2歳頃まで,水晶体の代償は6歳頃までである。このことから多くの児は3歳までの成長過程で屈折異常が正常に代償され,3歳時点では出生時情報と屈折度との関係はなっかたと考えられた。屈折度の変化の正確な把握には今後縦断研究が必要となる。なお2021年度には3歳時点で屈折異常があった児の屈折度と環境因子との関係性についての検討を続ける。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19対策のため,学外施設での活動ならびに学外者との打ち合わせが計画通り進捗できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度までに得られた児の屈折データと生活環境との関係性について分析を進める。
|
Causes of Carryover |
2020年度は学外施設での研究活動や学会発表のための旅費の支出がなかった。また研究が完了しなかったため,オープンアクセス誌への論文投稿費用の支出がなかった。次年度,学会発表および論文投稿費として使用する。
|