2020 Fiscal Year Research-status Report
ケニアにおける悪液質の実態調査と発症要因解明に関する新たな試み
Project/Area Number |
19K14188
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
凪 幸世 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90772971)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 悪液質 / 住血吸虫症 / マラリア / ケニア / 子ども / 握力 / 顧みられない熱帯病(NTD) |
Outline of Annual Research Achievements |
国内で実施可能な住血吸虫症を含む顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Disease: NTD)のレビューを進めている。また論文執筆に向けて悪液質の主な原因とされる1)炎症性サイトカインの活性化、2)骨格筋組織と脂質の分解亢進、3)神経内分泌系の異常、4)インスリン抵抗性の亢進について代替可能な指標に関する文献の精査を行った。上記1)―4)の具体的な指標項目を以下の[]内に示す。[1)炎症性サイトカインの活性化:腫瘍壊死因子α(Tumor necrosis factor alpha: TNFα)、インターロイキン1 beta(IL1β)、インターロイキン6 (IL6)、2)骨格筋組織と脂質の分解亢進:握力、除脂肪量指数(Fat free mass index: FFMI) ※ FFMI=除脂肪量(kg)/身長(cm)の二乗、除脂肪量=体脂肪率(%) X 体重(kg)/100、3)神経内分泌系の異常:Corticotrophine-releasing hormone (CRH)、Neuropeptide-Y(NPY)、レプチン、グレリン、4)インスリン抵抗性の亢進:インスリン、空腹時血糖値 ]本研究では対象地域のケニアを含む限定的なリソース環境下において、前出のさまざまな血液・生化学検査(現時点で検査機器の設備を要する検査項目)を行わなくても慢性栄養不良をより早期に検出するために、代替可能指標の複合的な組み合わせによる評価を実施する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究2年目は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動制限に伴い、本国と現地共同研究者の協力を仰ぎながらリモートでの定期サーベイ実施について検討を行った。しかし、寄生虫感染に起因する慢性栄養不良の総合的な理解のためには、寄生虫感染の状況、従来の身長・体重による栄養状態の評価に加え、握力や筋肉量を含む各種身体測定データと血液サンプルが必要となるが、これらのデータ収集を予定していた学校の不定期な閉鎖と、必要な検査スタッフ雇用が見込めず定期サーベイ実施が困難となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の延長申請を視野に入れ引き続き、本国と現地共同研究者の協力を仰ぎながらリモートでの定期サーベイ実施のための検討と交渉を進める。
|
Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響により予定されていたケニアでの疫学サーベイ調査が繰り越しとなった。そのため血液サンプル採取が出来ず、分析に必要な検査キットや試薬類などの物品や渡航にかかる費用が次年度に持ち越しとなった。これらの予算は次年度にて、研究地域での血液サンプル採取とその分析のための資材購入等に充当する予定である。
|