2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児における「他者との同期」現象の定量化
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19K14189
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
井崎 基博 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (60780210)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 視線 / アイトラッカー / 会話 / 敏感性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、対人コミュニケーション場面において、自閉症スペクトラム障害(ASD)児が、他者と同期することが困難であることを実証することを目的として遂行した。自然な会話場面での行動観察(視線の動きや会話の進行)を行った。 (1)視線の同期の計測 本研究では、ウェアラブル型アイトラッカーを用いて親子の会話場面におけるASD児の視線の特徴について明らかにした。研究対象者は小学1,2年生のASD児8名と比較群8名であった。静かな個室で、1組の親子が対面で座り、「好きな遊び」「夏休みにしたいこと」などのテーマについて3分間会話を行った。子どもにアイトラッカーを装着し、会話中に対象児が親の顔を見ていた時間を計測した。計測のタイミングは総時間と「親の発話中」「子の発話中」「話者交代時」の3つの場面とした。その結果、ASD群は比較群よりも視線パターンが異なった。「親の発話中」と「話者交代時」において、ASD群は親の顔を見る時間が比較群よりも短かった。 (2)情緒の同期の計測 親子の会話場面の行動観察から得られた親の語りかけの種類について調べた。研究対象者は定型発達の小学1,2年生15名とその母親である。親の敏感性の評価として、親子で共同して描画課題に取り組む様子を行動観察するAssessment of mother-child interactions with the etch a sketch (AMCIES)を用いて、コーディング表に基づき親の敏感性を評価した。次に、親の語りかけの種類の評価として、AMCIES課題中の親の語りかけについて、井﨑ほか(2019)による発話カテゴリーに基づき分類した。敏感性の高い親(High群)と低い親(Low群)に分けた。High群の親はLow群の親に比べて、自己の心的状態を語る頻度が高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究におけるデータの計測が当初の計画に比べて遅れている。COVID-19の流行とそれに対する予防の徹底をする必要があり、予定している計測が不可能になったため、研究の遂行が遅れている。 本研究は、子どもの視線と呼吸を計測することを予定している。しかし、いずれの計測もマスクを装着した状況では計測が困難となる。このため、現状としては、当初計測を計画してた項目を実施することを見合わせている。 ただし、マスクを装着していることがデータ計測に支障をきたさない項目(親子の会話場面の行動観察)については実施することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方策としては2点を考えている。 (1)研究期間を延長する 当初は2022年3月を終了予定としていたが、これを2023年3月に延長した。COVID-19の感染状況を確認しながら、より安全な形での計測をできるような対応を行う。 (2)研究協力者の年齢を下げる 最近では幼児のマスク装着は義務とされないようになってきているので、計測が可能となる可能性がでてきた。研究対象児の年齢を小学生だけでなく幼児にまで広げることで、計測を遂行したい。もちろん、感染症を専門とする内科医師からのアドバイスを受けながら、感染対策を万全にした計測実施とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、研究終了を2023年3月とした。そのため、2021年度に使用する予定の費用を来年に繰り越したので、次年度使用額が生じた。 2022年度の研究費については、調査会社への依頼料金と学会参加費を主に計上している。調査会社への依頼は、実験協力者のリクルートを依頼することとしている。学会は2023年3月の日本発達心理学会に参加の予定としている。
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Research Products
(1 results)