2019 Fiscal Year Research-status Report
権利主体としての子ども観に関する歴史的考察―コルチャックの子ども観に着目して
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19K14190
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Research Institution | Sapporo Otani Junior College |
Principal Investigator |
大澤 亜里 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30760227)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コルチャック / 子どもの権利 / 孤児院実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は権利主体としての子どもという考え方を歴史的に考察することを目的とし、2019年度は3月にポーランド国立図書館、コルチャック歴史記念館、国立ワルシャワ大学附属図書館等に赴き、課題の一点目であるヤヌシュ・コルチャックの子ども観や子どもの権利論の学問的背景と、子ども(期)を対象とする各学問分野における子ども観や子どもの権利に関する当時の議論について解明すべく資料として、①小児医学や公衆衛生学の動向および医師らによる児童保護活動に関する資料、②教育・養育問題および児童研究の動向に関する資料、③コルチャックが関与した機関や団体等に関する資料などの開拓および収集を行う計画を立てた。 その事前準備として、博士学位論文にまとめたコルチャックの孤児院における実践を子どもの権利という観点から整理、再構成し、学会および論文にて発表を行った。これは、本研究の課題の二点目である、コルチャックの子ども観・子どもの権利論を形成・深化させた、またそれらを体現していたと彼の多様な実践の歴史を具体的に解明することの一部である。また本研究を遂行するに際し、研究の協力を依頼しているヴィエスワフ・タイス教授(前ワルシャワ大学教授、現在は国立特殊教育大学所属)が執筆した、ポーランドの戦争孤児の問題を取り扱った論文を翻訳発表した。さらに彼が子どもの権利条約採択30周年を記念して開催された講演会に招致され11月に来日した際、予定している3月の研究出張時の打ち合わせを行った。 3月中旬に予定をしていたポーランドへの研究出張は、コロナウイルスの影響によりポーランドへの入国が不可能となったため、キャンセルをした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を遂行するために、これまでの研究成果であるコルチャックの孤児院における実践を歴史的具体的に明らかにした博士論文を、子どもの権利という視点から整理、再構成する他、ポーランドが子どもの権利条約を提唱する直接的な原因となった戦争被害者である子どもを取り扱った論文を翻訳するなど、現地で資料収集をせずともできることは行ってきたが、本研究は現地にて資料収集をしないことには遂行できない。したがって、コロナウイルスの影響でポーランドへの渡航がキャンセルになったことにより、進捗状況は遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は12月あるいは3月にポーランドに渡航し、2019年度に開拓・収集できなかった資料を収集する計画を立てているが、コロナウイルスの影響によっては実行可能かどうか不明である。 また日本でできることとして、デジタルアーカイブや文献検索システム等を活用し、資料の開拓を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度は、ポーランドに研究出張をするための旅費、現地での研究協力者の人件費、また現地から日本に収集資料を郵送する費用を計上していたが、コロナウイルスの影響により渡航がキャンセルとなったため、次年度使用額が生じた。 コロナウイルスの影響にもよるが、2020年度にポーランドへの研究出張を行い、上記費用を使用する予定である。
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