2020 Fiscal Year Research-status Report

コンピテンシー指向の理科授業デザインに関する理論的・実践的研究

Research Project

Project/Area Number	19K14198
Research Institution	University of Tsukuba
Principal Investigator	遠藤優介筑波大学, 人間系, 助教 (80759051)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	教科教育 / 科学教育 / コンピテンシー / 授業開発 / ドイツ
Outline of Annual Research Achievements	コンピテンシー指向の教育課程・授業改革が国際的広まりを見せ、日本の新学習指導要領でもそうした観点からの理科授業改善が謳われている。ドイツでは「コンピテンシー指向の授業」を鍵とした授業改革が盛んで、示唆を与え得る先進的な科学授業事例も豊富な反面、その特徴が明確に描出されていない。本研究は、ドイツの先進事例の特徴解明を図りつつ、その成果を反映させ、日本におけるコンピテンシー指向の理科授業デザインの理論と実践に関する基礎知見を得ることを目的としている。具体的な下位目的としては、第一に、ドイツにおけるコンピテンシー指向の科学授業事例について、学習活動や指導アプローチといった諸観点からその特徴を体系的に明らかにすること、第二に、第一の研究成果及び新学習指導要領で育成が標榜される資質・能力との対応を踏まえつつ、日本の中学校段階を対象としたコンピテンシー指向の理科授業デザインを開発すること、第三に、開発した理科授業デザインに基づく実践を行い、その評価・分析を通してコンピテンシー指向の理科授業デザインに関する基礎知見を得ること、である。令和２年度は、前年度に引き続き第一の下位目的の達成に向け、文献調査を中心としながらコンピテンシー指向の科学授業を特徴づける諸要素を抽出、分析した。また、その成果を踏まえつつ、第二の下位目的の達成に向け、日本の中学校理科で育成が目指される資質・能力を再整理するとともに、理科授業デザイン開発の視点について検討した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 令和２年度は、前年度に続きドイツの実践事例の体系的分析を通して、コンピテンシー指向の科学授業の特徴を解明し、その成果を反映させながら日本の中学校理科に沿った授業デザインを開発する計画であった。ドイツにおけるコンピテンシー指向の科学授業の特徴解明に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響で現地での補足調査には至らなかったが、概ね目的を達成できた。一方で、日本の中学校理科における授業デザイン開発に関しては、開発視点の検討を進めたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、予定していた中学校理科教員との意見交換を十分に実施することができなかった。これらに関してはさらなる検討を要するため、やや遅れていると判断した。
Strategy for Future Research Activity	令和３年度は、中学校理科教員との意見交換を行いつつ、日本の中学校段階におけるコンピテンシー指向の理科授業デザインを開発する。また、それに基づく授業を実践し、有効性の検証と改善点の検討を行う。そして、３年間の研究成果を総合して、コンピテンシー指向の理科授業デザインに関する基礎知見をまとめる。
Causes of Carryover	ドイツ科学教育研究者との意見交換や補足調査のためのドイツ渡航、また研究成果発表のための各種学会参加を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により中止やオンライン開催への変更がなされ、旅費使用ができなかったため。令和３年度は、前年度の研究遂行状況や新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえつつ、授業実践に係る諸費用及びオンラインでの研究協力者との打ち合わせや学会参加に係る諸費用の使用を計画している。