2022 Fiscal Year Research-status Report
A study on the competencies that must be developed by music teachers during training in university
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19K14200
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
服部 慶子 静岡大学, 教育学部, 講師 (10755937)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ピアノ実技に関する評価基準 / 学習に資するルーブリック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教員養成段階で育成される音楽科教員の専門的な能力について、具体的な実践力とその獲得プロセスを明らかにしたうえで、評価の基準や方法を開発することである。 その研究課題として、(ⅰ)音楽科教員に必要な実践力の具体化、(ⅱ) 能力獲得プロセスの解明、 (ⅲ) 評価基準・評価方法の策定、 (ⅳ) 評価基準・評価方法の試行と改善の4つをたてている。 初年度(2019年度)は、(ⅰ)について、本研究に関連する分野の文献や諸資料を参照しながら、教員の能力構造、音楽科専門教育、教育評価について理論的に検討することはできた。また研究2年目(2020年度)に計画していた、(ⅱ)能力獲得プロセスの解明のための大学訪問は、研究初年度に着手し、芸術系他大学の教員の授業を観察することができている。しかしながら、音楽科教員が有する能力に関して、当初計画していた静岡大学教育学部附属学校や静岡県内公立中学校・高校の教員を対象とした調査、及びピアノ実技に関するデータ収集のための大学訪問調査は、新型コロナウィルスの影響でできていない。インターネットを通じたコミュニケーションツールの使用を試みたが、音環境により難しいと判断したため、継続課題としている。 この状況を踏まえ、研究3年目(2022年度)に行った内容は、ドイツ語文献にあるピアノ実技の能力獲得プロセスと静岡大学教育学部で既に行った能力獲得プロセスを比較しながら、(ⅲ)の評価基準・評価方法の策定である。今後は策定した規準・方法を試行し、成果の発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、教員養成段階で育成される音楽科教員の専門的な能力について、具体的な実践力とその獲得プロセスを明らかにしたうえで、評価基準・方法を開発することを目的ととしている。本研究が取り組む研究課題は次の4つである。 (ⅰ)音楽科教員に必要な実践力の具体化では、教員養成段階で育成すべき音楽科教員に求められる実践力を明らかにする。(ⅱ) 能力獲得プロセスの解明では、大学教員の範奏を学生が模奏することで進められるピアノ実技の学習について、実演や口頭といった大学教員と学生の相互作用を丁寧に観察・記述することで明らかにする。(ⅲ) 評価基準・評価方法の策定では、(ⅰ)と(ⅱ)で明らかとなった実践力と獲得プロセスをもとに、「表現」という主観を伴う能力がゆえに把握することが難しいとされるピアノ実技で、パフォーマンス評価を援用しながら、その可能性と課題を検討する。(ⅳ) 評価基準・評価方法の試行と改善では、(ⅲ)で策定した評価基準・方法の実効性を高めるため、静岡大学教育学部およびその他の教員養成課程で試行し、成果と課題を析出する。それをもとに評価基準・方法を改善する。 上記の研究計画のうち、(ⅰ)は、文献や諸資料を参照しながら教員の能力構造、音楽科専門教育、教育評価について理論的に検討することはできている。また(ⅱ)は、研究初年度から着手し、芸術系他大学の教員の授業を観察することができている。しかし、教員養成課程の大学訪問は今年度も行えなかったため、その代替としてドイツ語文献とこれまで収集したデータから能力獲得プロセスを比較することで明らかにした。そして、そのデータをもとに(ⅲ)まで行っている。(ⅳ)については次年度の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で記した研究計画のうち、(ⅰ)音楽科教員が有する能力に関しては、静岡大学教育学部附属学校や静岡県内公立中学校・高校の教員を対象とした質問紙調査を実施する予定であったが、長引く行動制限により、文献調査から解明することとした。同様に、(ⅱ)の能力獲得プロセスの解明についても、初年度に着手した大学訪問調査を継続し、他大学教員の授業を観察するとともに、学生の学習内容・方法について聞き取る予定であったが、対面授業の観察が難航したため、既に収集済みのデータとドイツ語文献との比較を行い、そのうえで(ⅲ)の策定を行った。 今後は、策定した評価基準で静岡大学教育学部で試行し、成果と課題を析出する。
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Causes of Carryover |
本年度も、新型コロナウィルスの影響で、県内外移動を含む出張に制限があったことから、旅費の使用がなかった。それに伴い、静岡大学教育学部附属学校や静岡県内公立中学校・高等学校での調査、芸術系大学や教員養成課程大学への訪問で使用予定であった人件費及び謝金の使用額もなかった。 したがって本年度の使用額は、獲得プロセスに関するデータ収集のために物品と消耗品の購入のみとなった。 次年度では、成果発表のための旅費や、データ収集のための人件費及び謝金を使用する予定である。
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