2019 Fiscal Year Research-status Report
我が国の小・中学校におけるSTEM教育普及に向けたプログラム開発と人材育成
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19K14210
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
白數 哲久 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80810415)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | STEM教育 / プログラミング / サイエンス・コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の小・中学校の実情に合致したSTEM教育のカリキュラムの検討では、タイのバンコクにあるクリエイティブ教育センターでSTEMコーディネーターを務める方との交流を計画していた。その方が10月に来日したので、日本のSTEM教育を紹介するために幼稚園から中学校までの6校を一緒に視察して意見交換を行った。その後12月にタイで開催された科学教育の国際学会ICASEに招待され、STEMに関する口頭発表を行った。この発表要旨は、国際学会ICASEの大会要項に掲載された。また、埼玉大学STEM教育研究センターの方を招き、昭和女子大学の理科教育法の授業の中で,プログラミング教育に関するワークショップを行った。この授業は、昭和女子大学附属の小学校・中学校の先生方に公開した。さらに、地域で科学教育普及に努めているボランティア団体の方や学校の先生を招き研修会を2回行った。これらの研修を通して、STEM教育のカリキュラムのうち、プログラミングに関わる部分はおおよそ形が見えてきた。 教職を目指す大学生がSTEM教育を理解し指導できるようになるためのシラバスの検討では、埼玉大学STEM教育センターの方と共に教職を目指す大学生を対象にSTEM教育に関わる指導法の授業を共に築き、90分×4回の講座で子どもを指導できるスキルを身につけさせることができた。その一方で、訓練が必要な部分も明確化したのでシラバスに加えるべき内容の検討が進んだ。 小・中学校が学校外の人材を活用するために必要な仕組みづくりの検討では、実際に昭和女子大学の大学生が昭和女子大学附属昭和小学校に2回行きSTEMに関する授業を行った。また、埼玉県の公立小学校に大学生が1回行き、小学生と小学校教諭とかかわった。このことから、大学生が小学校の授業のゲストティーチャーとしての役割を担えることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際交流の機会を得て、STEM教育に関する世界の動向を肌身で感じSTEM教育の目指す方向性を確認することができた。それは、持続可能な世の中を作ることを目指すものであり、子どもの創造性を伸ばすためであるということであった。したがって、パターン化したプログラミング教育にならないようにすることが重要になってくる。このことについて、大学の授業や研修会の機会を通じ、約40名の人に伝えることができた。また、大学の授業の中で体験的にSTEM教育を学ぶ機会を4回設け、そこで学んだ学生がさらに授業プランを作り、小学校に2回行き実践的に検討をした。ここでは、子どもが創造力を働かせることができるSTEM教育とは何かを常に考えていった。そして、パソコンとプログラミング教材を有効に活用することで、大学生が学校インターンシップの仕組みを使い授業実践を行うことが可能であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年10月に米国のカルフォルニア大学バークレー校に行き、教材開発の最前線の様子を視察するように計画をしている。しかし、渡航制限されている今日、予定通り進められるかについては未定である。したがって、文献を用いた研究を進めるとともに、並行して、小学校の算数と理科を教科横断的に結びつける学習の認知科学的な理論の構築とその指導計画を,協力してくれる学校関係者とともに策定する。必要に応じて教材を工業デザイナーに依頼して制作する。策定した指導計画に基づいた授業実践を2~3の学校,科学館などで行い教育効果を明らかにする。さらに、現場の先生方と交流し、学校の先生方から聞き取り教育効果を明らかにする。そして,これらの研究を踏まえ,小・中学校の管理職との対話によって,学校が学校外に人材を求めるためにどのような仕組みが有効か,図式化により分かりやすく呈示する。得られた知見については、出版物や論文として発表するための準備を行う。2021年度には、タイから専門家を招いたSTEM教育に関するシンポジウムを開催したい。
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Causes of Carryover |
タイの国際学会に赴き、ホテルの滞在費用を現地通貨で払ったため生じた差額。2020年度米国に滞在する費用として使用する予定。
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Research Products
(2 results)