2020 Fiscal Year Research-status Report
我が国の小・中学校におけるSTEM教育普及に向けたプログラム開発と人材育成
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19K14210
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
白數 哲久 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80810415)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | STEM教育 / プログラミング / サイエンス・コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の小・中学校の実情に合致したSTEM教育のカリキュラム検討では、12月から3月まで埼玉県の公立小学校1校に協力してもらい、科研費で購入したPC30台と、センサーを搭載したプログラミング用基盤を貸し出し、STEM教育とプログラミング教育の実践を行った。この期間度々校内研究を行い指導案を検討した。12月と2月には授業公開を行い校内の先生方が参観し、協議会を行った。その中で、「プログラミング的思考を育てる授業の創造」と題して10時間の授業を検討した。具体的には、明るさセンサーを制御してレゴブロックで制作した扇風機のプロペラの回り方を変える体験を通して、身の回りのセンサーを使った設備に目を向けさせるものだった。プログラミングの分野では研究成果が上がったものの、工学の分野として子供たちに十分な思考をさせながら「ものづくり」に取り組ませる教材を検討するには至らなかった。これは、10月に米国カリフォルニア大学バークレー校に行く計画を進めていたが、新型コロナウィルス感染拡大によって行くことができなかったためである。 教職を目指す大学生がSTEM教育を理解し指導できるようになるためのシラバスの検討では、12月と1月に専門家をゲストティーチャーに招き、講義と演習を実施した。令和元年度は埼玉大学のSTEM-DUという装置を用いたが、令和2年度はより汎用性の高いmicro:bitを教材にした。センサー制御によってモーターの回り方を変える活動をさせていたが、学生は音楽を鳴らせたり光らせたりするところに熱中することが分かった。 小・中学校が学校外の人材を活用するために必要な仕組みづくりの検討では、実際に大学生7名と被災地である福島県浪江町の中学校に行き、自らがプランを立てたキャリア教育を意識したSTEM教育を中学生6名を対象に実施した。福島の子どもも東京の子どもと大きな違いは無く、興味を持ってもらうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大を受けて、海外視察、シンポジウム、研修会の中止が余儀なくされた。そのため、工学的な要素を有する教材づくりが進まず、教材の良し悪しを議論することができなかった。また、研究の成果を冊子にまとめて発行する予定だったが、成果がまとまらなかったため発行することができなかった。この2点において進捗状況にやや遅れが生じている。一方、学校が再開されたことから、いくつかの実証授業は予定通りに行うことができた。専門家を招いてディスカッションをすることもでき、STEM教育の教材づくり、大学生や教員向けの講習会において、重視すべきポイントを明確にすることができた。また、講習会でSTEM教育を学んだ大学生が、子供を対象とした教育実践を行い、その成果を卒業論文としてまとめたことから、本研究では一定の成果を上げることができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は「ものづくり」とプログラミングを融合させたSTEM教育の教材を検討し、工業デザイナーを介して教材を制作する。作成した教材は、学生・教員研修会でブラッシュアップを図り、より良いものにしていく。完成した教材を用いて研修を受けた学生や教員による小学生向けの教室を開き、その様子をビデオで撮影する。ビデオ撮影した授業記録と教材は、ホームページなどを通じて公開し、誰でも自由に活用できるようにする。ホームページではこれまで蓄積してきた教科横断的視点に基づいた認知的知見も文章化して掲載する。 また、令和2年度に行くことができなかった米国カリフォルニア大学バークレー校を訪れSTEM教材と教育実践の視察を行う計画を立てる。視察は令和3年または4年に実施する予定である。視察によって、小学校にSTEM教育を普及させるためにどのように研修やサポートをしているか調査し、得られた知見をもとに我が国における現場のサポートのあるべき姿を図式化して発表する。
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Causes of Carryover |
予定していた海外視察に行くことができなかったため。また、それに伴って、研究成果を収録した冊子を作ることができなかったため。新型コロナウィルス感染がおさまって海外視察に行けるようになった場合には、令和3年度または4年度に米国カリフォルニア大学バークレー校を訪問する。また、デザイナーに依頼し教材を作成する。
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Research Products
(1 results)