2019 Fiscal Year Research-status Report
Artsの視座からのSTEAM教育の検討に基づいた日本の独自性を担保する授業開発
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19K14211
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
畑山 未央 東京家政大学, 家政学部, 期限付助教 (60759124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | STEM教育 / STEAM教育 / 教科等横断的な視点 / Art & Design |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,研究の問いに対して文献・実地調査による分析を踏まえ,我が国の教育課程に即してSTEAM教育のあり方について検討することで答えることを目指す。STEAM教育の前身であるSTEM教育にArtsが組み込まれたのには,人材育成,全人的な教育の促進や,創造性を伸長するなどという理由があるが,その成果内容としては,Artsを取り込むことによって理数系教科の学力向上が確認できたなどという内容が多いことからも,Artsの視座からArtsの領域を対象とした実践研究は十分に蓄積されてはいないことが見出せる。これらのことから,STEAM教育においては,芸術教科固有の内容や資質・能力を捉えた上で,STEM分野だけでなくArts分野の面ではどのような学習効果があったかを分析する観点が世界的に十分ではない。我が国においてSTEAM教育が普及していく最中,「芸術教育の立場からのSTEAM教育研究」と「人材育成のためではなく,子どものためのSTEAM教育のあり方」を追及していくことが望まれる。 事例調査により,STEM 教育に加える A の捉え方は,Art(芸術) , Art+Design, Arts(リベラル・アーツ)など様々であることがわかった。そのためSTEAM教育におけるAの役割や位置づけが多様となり, Aの役割や位置づけが不明確なままで行われがちな実践が存在する。我が国における STEAM 教育の推進においては,初等中等教育段階からの学習のつながりの必要性も併せて指摘されている。我が国における教科等横断的な視点の定義を小学校及び中学校『学習指導要領解説(平成 29 年告示)総則編』などから捉え,STEAM教育との関連性を検討し,その成果を研究発表やワークショップ等を通して発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響があり,国内外の実地調査の実施がストップしている。情勢が落ち着いたのち,様子を見ながらフィールド調査を再開する。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外のSTEAM教育の授業視察,教師や子ども達へのインタビュー,海外調査対象国の教育省への聞き取り調査などを行いながら,文献調査によって得られた論考を精査し,検証する。それらを踏まえ,我が国の教育課程に符合したSTEAM教育の考え方と方法について考察する。
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Causes of Carryover |
本年度は,年明けに国外調査を予定していたが,COVID-19の影響で中止となった。その影響で使用額に変更が生じている。次年度の助成金の使用計画については次の通りである。 ①文献の入手。本研究では,日本および欧米等で出版されているSTEAM教育関連文献・資料の入手とレビューを設定している。我が国でのSTEAM教育関連文献は僅少なため,国外の文献・資料を取り寄せることになる。また,諸外国のSTEAM教育事例等の多くはWebサイトを通して情報収集することができるが,関連論文は課金されており,年次ごとに確認と取集を行う必要がある。加えて,近年のデジタル化によってデジタルテキストによる販売も行われて いるので,関連文献購入費はデジタル版の購入も想定している。 ②国内外の実地調査。情勢の様子を慎重に判断しながら,可能であれば諸外国のSTEAM教育の授業視察を予定している。訪問先は各国とも初等中等教育課程の学校,大学,教育省などを予定しており,状況に応じて1~2名で訪問する。
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Research Products
(2 results)