2021 Fiscal Year Research-status Report
保育現場における生き物介在型環境教育プログラムの開発と継続的な実践モデルの構築
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19K14212
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
森元 真理 東京農業大学, 農学部, 助教 (30611678)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人と生き物とのかかわり / EfS / 保育 / 保育者養成 / 遊びと学びのデザイン / 飼育動物 / アニマルウェルフェア / バイオミミクリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに試作した「生き物を介した環境教育プログラム」が保育学生や現場の若手保育者が現場で実践する上で実践可能な内容であるのかを評価するため、保育現場における教育実習生(保育学生)および保育者の実践を通して、本プログラムの保育活動および環境教育としての内容の妥当性や取り組み易さ等について検証した。また、その結果を踏まえて、プログラム自体や関連する遊びツール(教材)のリデザインを実施した。具体的には、実習案の内容や実践後の振り返りの記録、本研究者による実践に関する半構造化面接の内容等の分析を行った。また、遊びツールの形態についても、幼児教育の専門家や若手保育者との意見交換を繰り返すことで現実的な形態を検討してリデザインした。 当該年度の成果として、本研究で試作してきた環境教育プログラムは、教育実習生自身が幼児期の環境教育の意義について学んだ上で、自ら環境教育の視点を取り入れた活動目標を定めることが可能であり、活動内容についても本研究者が提示したプログラム内容を基盤にしつつも、実習生自身が実習園の子どもの実態に即した内容にアレンジして実践することが十分に可能なものであることが示された。さらに遊びツールのリデザインにより、本研究者らが直接現地に赴いて実践およびその補助をする必要性も大幅に減少させることが可能になったことから、多くの園や保育者に対してプログラムを提供できる準備が整った。 最終年度となる次年度は、多くの園の保育者に対して本研究でデザインしたプログラムの実践協力を依頼し、本研究で提案した様々な環境教育プログラムに関する実践事例を蓄積することで、多くの現場で保育経験の浅い保育者であっても取り組める「生き物を介した環境教育プログラム」の実践モデルを取りまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度の計画通り現場保育者もしくは協力先の保育学生が所属する大学の研究者とリモートミーティング等で連携をとりながら、依頼できる部分は依頼し、データ収集についても可能な範囲で協力が得られるように調整を進めて実施することができた。その結果、保育学生によるプログラムの実践とその評価については、対面実施の制限のある中で最大限に実施できたものと考えられる。これらの成果については、日本保育学会第74回大会等で発表した。他方で、COVID-19の影響により、当初予定していた現場保育者への協力依頼や実践および評価は当初の予定よりも遅れが生じており、一部の遊びツールの提供と実際に利用したことによる保育者視点での意見および感想等を調べる郵送調査の実施と解析に留まった。現在は、次年度以降の調査方法や実施時期等について、調査依頼先と再調整を行うとともに、これまでに収集したデータからこれまでに本研究でデザインおよびリデザインしたプログラムおよび遊びツールを取りまとめて紹介できるように準備を進めている。当初はwebページでの公開を予定していたが、COVID-19による影響で様々なオンラインコンテンツが急増したことから、その形態については現場保育者の希望に即した形となるように再検討する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの過程で助言や研究協力の得られた幼児教育の専門家および園の有するネットワークを活用することで、昨年度末にリデザインした遊びツールの郵送提供による実践協力園の拡大を迅速に図る予定である。また、昨年度までは、実践に際しては何らかの形で本研究者が直接現地を訪問するか対象園の関係者と直接打合せをする必要が生じていたが、遊びツールのリデザインによって現場の保育者だけでも実践できる環境教育プログラムへと改善することができたことから、今後、何らかの形で現地訪問や対面が制限されるとしても、プログラムに関する資料や遊びツールの提供が郵送もしくはオンラインでの対応へと切り替えられる準備が整っているため、実践と評価のためのデータ収集は予定通りに進められる見通しである。さらに、現在、保育者と子どもが共に学べる環境教育プログラムの立案にも着手していることから、当該プログラムの試作が完成することで、子どもと保育者が同時に取り組めるプログラムの実践が可能となり、これまでは別々に実践してデータ収集していた時間を大幅に削減できるものと思われる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、昨年度の後半にかけて予定していたプログラム実践がCOVID-19による影響で相次いで中止せざるを得なくなったことから、実践にかかる教材の準備の費用および現地への出張にかかる旅費の執行が中断されたためである。また、作成したプログラム等の公開に向けた最適な媒体についても、COVID-19の影響によりwebページ作成作業の業者委託にかかる費用に大幅な変更が生じる可能性がでてきたことから再考を余儀なくされたため、依託費用が未執行であることも一因である。 繰り越した助成金については、今後、プログラムの実践や遊びツールの作成にかかる消耗品を購入するとともに、プログラムの実践に伴う現地への出張および関係者らとの打ち合わせ等の旅費とし順次使用する予定である。また、情報公開に適した媒体(当初はweb HPページとして計画)についても引き続き検討中であることから、決まり次第、その作成のために使用していく予定である。
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