2022 Fiscal Year Research-status Report
数学授業において学習者の抱く「数学的価値」に関する日豪比較研究
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19K14222
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山崎 美穂 帝京大学, 教育学部, 講師 (50824132)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数学的価値 / 日豪比較 / 学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,学習者が抱く「数学的価値」の特徴を調べるための調査を確定させた.そして,作成した調査問題を用いて,日豪において調査を実施した. 調査問題については,2変数の関わる問題解決場面を設定した.そして,中島(1971)において整理された数学的価値である「簡潔Simplification」「明確Clarification」「統合Unification」を観点として,3つの異なる解法を作成し,これらに対する学習者の評価場面を設定した. 日本においては,協力校の担当教員と,対面にて事前打ち合わせを行った.その結果,第3学年から第6学年までのクラスにおける調査協力を依頼することが出来た.そして,各クラスの担当教員の協力を得て調査を実施し,第3学年71名,第4学年62名,第5学年96名,第6学年83名で,合計312名の児童のデータを得ることが出来た. オーストラリアにおいては,協力校の担当教員と,Web会議システムを用いて事前打ち合わせを行った.その結果,第3学年から第9学年までのクラスにおける調査協力を依頼することが出来た.そして,各クラスの担当教員の協力を得て,現地において調査を実施し,第3学年31名,第4学年24名,第5学年30名,第6学年15名,第7学年以上25名で,合計125名の児童・生徒のデータを得ることが出来た. 収集したデータは,個人を特定できない形で電子化し,保管している.現時点で,大まかなデータの分類と整理についは完了した.学習者が抱く「数学的価値」の特徴を更に詳細に明らかにするため,日豪の文化的特徴を踏まえた分析を行っている最中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本に関しては,調査協力教員との打ち合わせを対面で行うことができた.オーストラリアに関しては,調査協力教員とWeb会議システムを用いて打ち合わせを行うことができた.その上で,新型コロナウィルスによる規制が緩和され,日豪において調査を実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては,日豪において実施した調査のデータを分析・整理し,日豪の児童・生徒の抱く「数学的価値」についての特徴を明らかにする.また,日豪の教育システムや数学授業の特徴について整理し,本研究における調査で明らかになった児童・生徒の抱く「数学的価値」との関連付けを行い,文化的特徴を明らかにする. 明らかになった結果については,科学教育学会第47回年会において研究発表をするとともに,研究論文としてまとめる.また,2024年にオーストラリアで開催が予定されているThe 15th International Congress on Mathematical Educationにて研究成果の発表をするために,提出原稿を作成し,提出する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる影響を受け,調査実施時期がずれこんだため,調査によって収集したデータ分析および研究成果の整理の時期もずれたことで,次年度使用額が生じている. 使用計画については,調査データの詳細な分析のため,研究動向を把握するための研究資料収集費用および分析費用として使用する.また,研究成果を整理し発表するために,英文校正費用,論文投稿料,学会参加費用および旅費として使用する.
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