2019 Fiscal Year Research-status Report
Incorporating L1 into Foreign Language Curriculum Development and Teaching Practice
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19K14233
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
王 林鋒 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成・院), 特命助教 (70806322)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小学校英語 / ことばへの気づき / 母語と連携する外国語教育 / メタ言語能力 / 外国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ことばの教育という視点から、国語教育と外国語教育が連携する重要性及び可能性を明らかにし、連携による言語力の向上を目指す小学校外国語カリキュラムを開発し、授業実践を行うことである。当該年度の研究計画においては、国語教育と外国語教育が連携する理論的・実践的調査を行う予定である。国語教育と外国語教育が連携する必要性及び可能性を明示するため、連携を支える理論的・実践的な根拠を調査し、提示する。当該年度の研究実績は以下のとおりである。。 1.国語教育と外国語教育の連携を支える理論的な根拠の文献調査:理論的な根拠は、言語学、国語教育、外国語教育の先行研究から導出する。国語教育と外国語教育が連携する基盤を探り、その必要性を裏付ける。関連づけられる理論的視点は、ことばの普遍性(Chomsky, 1965;Samuels, 1979)、二言語相互依存説(Cummins, 1984)、ことばの気づき(大津、1989;Schmidt, 1990)と、言語と文化の多元的アプローチ(Candelier, 2007)と選定した。国語教育と外国語教育の連携との関連性を統括し、整理した。 2.国語教育と外国語教育の連携を支える実践的な根拠の実地調査:実践的な根拠は、実施校での実地調査及び協力者との協働的授業実践から集まる。複言語の視野を取り入れた国語教育と外国語教育が連携する授業を学校全体で実施している大阪府の公立小学校への実地調査を行った。5年生、6年生の外国語の授業を参観し、子どもの振り返り記述文を基に、現場教員たちと授業研究会を行った。海外調査では、香港とタイの複数の小学校を訪問し、国語と英語の授業を参観し、授業者への聞き取り調査を行い、授業研究会に参加した。前年度に協力者との協働授業実践事例を論文化し、JES Journal(小学校英語教育学会の学会誌)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実態を把握する実地調査では、県内の連携校のみならず、県外の協力校にも出向いた。山梨県で開催された全国小学校英語教育実践研究大会に参加し、小学校の6つの公開授業を参観した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においては、学級担任先生の強みを生かす小学校ならではの外国語カリキュラムモデルを構築するため、教科横断教科書の比較分析によって、国語と外国語が関連付ける言語的項目及び内容を提案し、それに関わる言語活動を開発しモデル化する。教科横断教科書の比較分析の対象は、小学校検定国語教科書の採択率が50%以上を有する光村図書(1年生~6年生)、と小学校検定英語教科書(東京書籍、5年生、6年生)を選定する。教科書を分析する枠組みは、言語を客体として意識・観察・運用する力と定義するメタ言語意識(生越、2007)の4領域、つまり、音韻への気づき、単語への気づき、言語形式・文法への気づき、と運用上の気づきに基づく。教科横断教科書の比較分析の結果として、国語と外国語が関連付ける言語的項目及び内容を提案する。それを基に、複数の言語を観察・分析・推論を必要とする言語活動をデザインし、モデルとして提案する。
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