2023 Fiscal Year Annual Research Report
the development of teaching unit for group improvisation to encourage subjective/intersubjective value judgement in music
Project/Area Number |
19K14237
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷川 諒 神戸大学, 国際人間科学部, 非常勤講師 (30817250)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 即興演奏 / 音楽科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,小学校の音楽科で平易に実施可能な集団即興演奏技法の開発を最終目標に,その開発のヒントを得るために集団即興演奏実践者らへのインタビューおよびテキストデータの質的分析を行った。COVID-19の流行により調査が一時中断したが,最終的には得られたデータの範囲で分析を進め,集団即興演奏《Group Musical Improvisation with Cards》(以下《GMIC》,ギミック)を開発することができた。 前年度までの調査で,サウンドペインティングのような集団即興演奏には「記憶・反応の難しさ」「即興的創作の難しさ」「自己開示の難しさ」があることがわかっている。《GMIC》はそれらの難しさの克服を支援するようデザインされた,カードを用いた集団即興演奏の技法である。 当初の研究計画では,申請当時の所属であった神戸大学の附属小学校で《GMIC》を試してみる予定だったが,パンデミックおよび研究者の所属の変更(特命講師から非常勤講師へ変わった)等もあり,断念することになった。しかし,研究者自身によるフィールドワークの中で,《GMIC》が小学校の授業1コマで十分実践可能な平易を備えていることは確認できた。データは取れなかったが,現場での実践を通して《GMIC》の効果と実践中の留意点について確認できたことは幸いだった。 本年度の具体的成果として,これまでの研究の成果をまとめ,日本音楽即興学会の学会誌である『JASMIMジャーナル』に投稿し,掲載された。当該論文は2023年度の学会賞を受賞している。また,《GMIC》の演奏技法については,2024年7月に出版予定の拙著『音楽科教育はなぜ存在しなければならないのかー「良い音楽科教育」を構想するための目的論』にも掲載される予定である。
|
Remarks |
(2)のこどもコンサートの映像では,冒頭に《GMIC》での実践の様子が収められている。研究費で撮影したわけではなく,またこの映像に写っている子どもを研究対象にした訳では無いので,研究費を用いて得られた直接的な成果ではないが,小学生を対象とした《GMIC》の貴重な実践事例には違いないのでここで言及した。映像公開に関しては神戸市室内管弦楽団の事務局が事前に参加者に対して許可を取っている。
|