2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14246
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
石黒 千晶 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 助教 (00814336)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 鑑賞 / 美術教育 / 創造 / 表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年芸術作品の鑑賞が感動や安らぎを与えるだけではなく、表現や創造も促進することがわかっている。しかし、先行研究は大学生や成人を対象にした研究しか行われておらず、それらの知見を学校教育課程にある子どもに適用できるかはわかっていない。そこで、本研究は創造的表現を促進する美術鑑賞を初等教育の図画工作に適用することを目指して、(1)どのような鑑賞教材が児童の創造的表現を促すかを実験的調査によって明らかにすること、(2)どのような鑑賞方法が児童の創造的表現を促すかを実験によって明らかにすること、(3)(1)・(2)で得られた知見を組み合わせた教育プログラムを開発することを目的としている。 本年度は昨年度に行った(1)の研究を英語論文にまとめて投稿した。(2)(3)の実験と実践は新型コロナウィルスの影響で、計画していた対面式の実験・実践という形で行うことができなくなった。新型コロナウィルス感染拡大の状況が今後も続くことも十分考えられる。そのため、(2)(3)の実験・実践研究を遠隔で実施する可能性を探った。具体的には、児童の創造的表現を促す鑑賞方法をアートエデュケーターと開発した。また、この鑑賞方法が児童を対象にしたときに創造的表現を促すかを検討するために、予備的な実践を実施した。なお、対面形式で実験や実践を行う予定だったフィールドにも出張することができなくなったため、昨年度のちに遠隔でも児童教育プログラムを実施させてもらえるフィールドを開拓した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画上ではすでに実験を終えて、教育プログラムへの示唆が得られている予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で児童を対象とした実験を対面で行うことができなかった。また、教育プログラムを実施予定だったフィールドにも出張規制で行くことができなくなった。そのため、当初の方針を変更し、遠隔でも可能な創造的表現を促す鑑賞方法を開発することに注力した。また、遠隔でも児童教育プログラムの実施を受け入れてくれるフィールドを開拓した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、研究協力者であるアートエデュケーターと遠隔でも実施可能な鑑賞プログラムを開発している。このプログラムをオンラインコミュニティ、および、遠隔でも児童教育プログラムを実施させてくれるフィールドで実施する。その際に、本研究で開発した教育プログラムの有効性を検証するような実験的なデザインを組み込むことを予定している。 また、(1)の研究で児童が表現の動機づけを得やすい絵画が明らかになっている。そのため、教育プログラムではその知見を踏まえて鑑賞教材を選定する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大により、対面実験の実施ができなくなったため、実験に必要な費用が計上されなかった。また、1年目の研究実績を国際学会で発表する予定であったが、出張規制で出張ができなくなった。 これらの理由で繰り越した費用は、2021年度に行う実験・実践のために使用する。2021年度に行う実験・実践は遠隔のため、そこで使用するPC等を費用として計上する予定である。また、2021年度も対面実験を実施するのは困難なことが想定されるため、遠隔での実験・実践を複数回行う。実践を行う際には複数のアートエデュケーターに依頼するため、そのための費用も計上する予定である。
|