2020 Fiscal Year Research-status Report
小学生,中学生,高校生が感じる学習の価値およびその形成要因
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19K14251
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三和 秀平 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (70824952)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教科 / 価値 / 発達 / 動機づけ / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
急速に発展していく社会の中で,子どもたちが各教科(数学,国語,理科,社会,英語)に対してどのような価値を認知しているのか,またその認知に影響を与える要因はどのようなものなのかを課題価値の概念から検討することが本研究の目的である。 本年度はまず,昨年度行った調査に関して整理を行った。昨年度は自由記述形式の質問紙にて子どもたちが各教科に対して「どのように役立つ」と認識しているのかを調査した。その結果について整理し,日本教育心理学会第62回総会にて発表するとともに,論文としてまとめた。続けて,親子を対象にオンラインでの面接調査を行い,子どもが感じる価値の内容をより詳細に尋ねた。その結果,各教科の勉強が役立つと感じている子どもであっても,「具体的にどのような場面で役立つのか」という認識は十分にもてていない傾向が見られた。また,親が子どもの価値認知に与える影響について探索的に検討するために,現在データを整理中である。 さらに,小中学生に対して大規模な調査データを用いて各教科に対して認知する価値の年齢の発達による変化やその特徴についてまとめた。価値の側面や教科の違いによって,学年の向上による価値の変化のパターンが異なることなどが示された。また,変化だけではなく,教科間の距離の違いによって相互の教科間の相関関係や学年による相関の変化が異なる可能性も示唆された。また,子どもの認知する親や先生からの指導方針や家庭での過ごし方や習い事などのデータも入手しているため,現在そのデータも踏まえて子どもの価値形成に影響する要因についても分析を進めている。加えて,次年度の研究に向けて,親や教員がどのような影響を与えるのかという点についても整理し,データ収集に向けて準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルスの影響で,学校での調査や面接調査を行うことが困難であった。しかしながらオンラインの調査やオンラインの面接などで代替してデータの収集を行うことができている。本年度は特に質的な側面や量的な側面の両方から子どもたちが各教科に対して感じる価値を整理できており,概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では親子のデータや教師と子どものデータを用いて親や教師が子どもの価値形成に与える影響を検討する予定である。親子のデータは一部収集できているが,内容を精査して来年度新たにデータを収集する予定である。データが集まり次第,分析や発表に向けた準備を進めていく。加えて,2020年度に実施していた面接調査を継続して行い,データを収集するとともに,質的な側面からその結果をまとめていく。 また,得られた結果は積極的に発表やフィードバックを行う予定である。2021年度では,日本教育心理学会第63回総会にて,2020年度に実施した調査の結果を報告する予定である。加えて,論文としての執筆,投稿作業も進めており,順次成果を論文としての発表を進めていく予定である。また並行して,協力していただいた参加者の方に向けたフィードバックの活動も順次進めていく。 研究を遂行する上での課題としては,コロナウイルスの影響で調査が困難な状況にあることである。代替の方法として,適宜オンラインでの面接や調査を進め,データの収集に努めていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響もあり,移動を伴う調査を避けたため,交通費などもかからなかった。その代替の方法として,調査はオンラインで実施した。そのため,オンラインで面接や調査を行うための環境整備や調査会社に依頼する調査費用がかかった。これらの理由より,次年度使用額は0を超えたものの,その金額は大きいものではなかった。 次年度使用額は,令和3年度請求額と合わせて,消耗品として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)