2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Role of Oral Reading in EFL Reading Comprehension
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19K14252
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
藤永 史尚 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60781060)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音読 / 黙読 / 読解 / 外国語(英語) |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は日本人英語学習者の音読時と黙読時の理解に影響を与えうる要因について、「読む文章」や「内容理解を測る課題」に焦点を当てて、これまで行われた音読と黙読の比較研究の手法を踏まえながら、前年度に引き続き調査を行った。明らかになった主な点は以下のとおりである。 文章を一通り音読または黙読した後に内容理解度を測るとき、選択式の課題の場合には読み方の違いによる差は確認できなかった。記述式で回答を求める課題のうち、Q&Aのような形式では読み方の違いによる差はない傾向があったが、自由筆記再生の形式では、学習者の熟達度の影響も受けて、読み方によって差が出る可能性が示唆された。課題回答のために使用される言語が読み手の第一言語か目標言語かによる影響の違いについてまでは明らかにすることはできなかった。 いずれの形式においても、課題遂行中に読んだ文章を見返すことはできなかったので、読み手は内容理解とその記憶保持が求められたと言える。この点を考慮すると、選択式と記述式では前者のほうが記憶保持とそれに関連する認知的負荷が後者よりは少ないと考えられた。これは選択式課題において読み方の違いの影響が顕在化しなかった要因の1つではないかと分析された。 音読(または黙読)させる文章の性質が読後の内容理解度にどのように関係しているのかについては、文章ジャンルの違い(物語文と説明文の違いなど)、文章構造の違い、長さの違いによる影響が考えられたが、いずれも一貫した傾向は確認できず、今回の研究では明らかにすることができなかった。
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