2021 Fiscal Year Research-status Report

子どもの価値調整能力を育成する対話的社会科授業構成の研究

Research Project

Project/Area Number	19K14253
Research Institution	Okayama University of Science
Principal Investigator	紙田路子岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (00782997)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords	価値調整のための対話のありかた
Outline of Annual Research Achievements	本研究は子どもの価値調整能力を育成する小学校社会科学習の授業構成について提案し，それに基づいた授業設計・実践を行うことで，小学校価値学習の改善を目指すものである。本年度は研究の3年目にあたり，当初の予定では研究協力校において，前年度に設計した授業の実践を行い，授業構成論の検証，具体的には，令和２年度に設計した分析の枠組みをもとに，子どもの思考の変容過程と授業との関連について解明する予定であったが，コロナ流行による外部訪問者の制限のため，授業実践の実施はできなかった。そのため本年度は前年度社会系教科教育学会で発表した「市民的資質・能力を育成する防災教育の在り方―小学校第６学年社会科単元「水害から考える地域の防災」の設計を通して―」の研究を学会誌に投稿し，主に地域と連携した価値調整の在り方を広く示した。さらには岡山理科大学紀要においても「小学校生活科における歴史学習の可能性―歴史的実践に基づく小学校低学年の歴史学習―」の論文において，主に低学年の生活科において歴史の見方考え方を学級や家庭，地域社会との交流を通して構築していく授業設計を提案し示した。また，第9回全国社会科教育学会・韓国社会科教育学会研究交流において「価値調整能力を育成する社会科授業の検討－水害から考える地域の防災」の授業設計を通して」を発表し，日韓歴史認識問題の解決にもつながる異なる価値調整の在り方について交流することができた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 本年度はコロナ流行の影響で，外部訪問者の入校が制限され学校教育現場において当初予定していた授業実践を行うことができず，令和２年度に設計した分析の枠組みをもとに，子どもの思考の変容過程と授業との関連について解明することができなかった。しかしながら、授業設計及び分析のための枠組みはできているので，令和4年度は実践協力校の授業実践を行う予定である。
Strategy for Future Research Activity	本年度は社会科単元「水害から考える地域の防災」を6年生では政治単元として，4年生では私たちの安全を守る働きをテーマとしてそれぞれ，価値調整を目的とした授業実践を行う予定である。また実践を通して対立する価値を調整し，よりよい解決策を見出すことの対話の在り方を，子どもの逐語記録，授業記録，及びインタビューによる質的調査から明らかにし，その実践結果を社会科教育学会に広く公表する予定である。コロナの影響が懸念されるが，可能であれば海外の研究情勢も把握しつつ，海外の学会での発表も検討している。
Causes of Carryover	本年度は，コロナ流行の影響のため，小学校教育現場に赴いて授業観察及び参画を行い，授業研究・実践分析をすることができなかった。またその成果を発表することも不可能となかったため学会発表の機会も限られた。そのため次年度使用額が生じた。次年度は，授業実践校への出張旅費（２～3校），学会発表のための費用（出張旅費，学会参加費，資料作成に関わる費用），研究成果の書籍化のために使用する予定である。