2023 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの価値調整能力を育成する対話的社会科授業構成の研究
Project/Area Number |
19K14253
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
紙田 路子 岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (00782997)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 納得解の追究 / 価値調整能力の育成 / 協調 / 選択・判断 / 市民的資質・能力の育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は子どもの価値調整能力を育成する小学校社会科学習の授業構成について提案し,それに基づいた授業設計・実践を行うことで,小学校価値学習の改善を目指すものである。多様な見方・考え方との出会いを通して,自らの判断基準の自明性を疑い,新たな判断基準を更新,構築できる資質を価値調整能力ととらえ,その育成を目指し社会論争問題の「納得解を追究する授業」の実践研究に取り組んだ。小学校社会科では,第3学年「地域の安全を守る働き-自転車を免許制度にすべきか否か」「地域の安全を守る働き」~消防団は残すべきか,なくすべきか」等の授業実践研究に取り組み以下についてを明らかにした。第1は価値調整には「共感」と「批判的思考」の2つの思考が必要である点である。授業記録の分析、及び子どもへのインタビューを通して,納得解の追究を通して価値調整を行うことができた子どもは、他者への「共感」と「批判」という二つの思考をその場面に応じて働かせていることが明らかとなった。第2は納得解を見出すには、習得した社会的知識・技能を活かさざるを得ない点である。すなわち,納得解を追究する授業は子どもの価値調整能力だけでなく,生きて働く知識の獲得も保障するものと言える。第3は子どもが社会科授業の意義を感じることができる点である。子どもの授業に対するコメントをみると、様々な立場に立って価値調整をすることで社会をよくしていくこと,あるいは未来をつくることにつながる授業として一定の手ごたえを感じていることが推察できた。本研究の成果については中。西播磨地区小学校社会科教育研究大会での研究授業公開及び講演、さらには社会系教科教育学会、日本社会科教育学会研究大会のシンポジウム,及び学会誌への掲載(社会科教育研究,社会系教科教育学論叢,教育実践学研究)などを通して広く伝え,一定の評価を得ることができた。
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