2022 Fiscal Year Research-status Report
州憲法上独立した米国大学と高等教育政策の計画・調整
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19K14261
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| Research Institution | Kyushu Sangyo University |
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Principal Investigator |
中世古 貴彦 九州産業大学, 基礎教育センター, 講師 (50757656)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 米国高等教育 / 旗艦州立大学 / 憲法上の自治 / 州高等教育調整機関 / 大学理事会 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「州憲法上独立した米国大学と高等教育政策の計画・調整」は、旗艦州立大学が州憲法による自治を有する州を対象として、高等教育に期待される公的使命の達成に向けて、大学の強固な自治・自律性と、学外からの公的統制との葛藤がいかにして乗り越えられようとしているのかを、＜憲法上独立した旗艦州立大学＞と＜州全体の高等教育政策の計画・調整機構＞に注目しつつ明らかにすることを目的としている。
元々の研究期間最終年度であった2022年度は、引き続き米国高等教育の動向について先行研究や最新動向を収集するとともに、旗艦州立大学が憲法上の自治を有するとされる6州の大学理事会を比較することに重点を置いた。具体的には、クラークの「調整の三角形」に関する先行研究に鑑みて、理事会の構成員、任命方法、任期等を「州政府」「大学」「州民」の頂点からなる三角形の評価枠組みに落とし込み、憲法上独立した州立大学理事会の同異を検討した。これまで主として分析対象としてきたカリフォルニア州だけでなく、コロラド州、アイダホ州、ミシガン州、ミネソタ州、オクラホマ州の旗艦州立大学理事会の制度設計上の性格の違いを明らかにし、論文化した。
また、3年ほど前から取り組んでいた米国高等教育の専門書の共同翻訳も2022年中に終了し、同年8月に九州大学出版会から『衡平な大学入試を求めて』（原著まえがき、凡例と解説、第1章、第2章を担当）として刊行された。憲法上の自治を持ちながらも、州政府などの外部社会からの大きな圧力の下で形成されてきたカリフォルニア大学の入学者選抜改革の歴史を扱う本書は、本研究課題とも密接な関連を持つ。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では、毎年度、1～2州について情報収集・現地調査を実施する予定であった。しかしながら、2020年1月頃からの世界的な新型コロナウィルス感染症の影響が完全には収束しておらず、渡航制限やそれに伴う本務への支障に関する懸念、またコロナ禍に伴い所属する機関や学協会において様々な業務負担が追加で生じたため、研究時間を確保すること自体が極めて困難な状況が続いており、現地での詳細な調査に着手できなかった。
また、高等教育分野の優先的政策課題も変化しているようで、研究課題を着想した頃に見受けられた州全体の高等教育政策の計画・調整機構の改革の問題は後景に退いているように見受けられ、現地調査を実施できる見通しも立たなかっため、文献や報道等を手掛かりに国内でも実施できる分析を優先することになった。
以上の理由のため、進捗状況について「遅れている」という判断を行った。
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| Strategy for Future Research Activity |
先述のように、特にコロナ禍を経て、米国の高等教育分野の政策課題や高等教育機関の教学経営上の優先課題は、研究計画段階とは変化しているようである。まずは、引き続き動向を注視し、本研究の視点から分析が可能な情報の収集や分析を行うとともに、現地調査の実施に向けた準備を行いたい。そのために、2022年度末に、研究期間の延長を申請した。
日米政府は2023年5月に新型コロナウィルス対策に伴う渡航制限をほぼ撤廃するとも報道されており、延長した2023年度には、対象の州を絞りつつ現地調査を実施できるように計画的に研究を進めたい。
また、先行して分析を進めてきたカリフォルニア州については、その成果をまとめた書籍の刊行助成が採択されており、2023年度内の刊行に向けて鋭意取り組みたい。
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| Causes of Carryover |
コロナ禍の影響などで当初計画通りの研究実施ができなかったため、次年度への繰り越しが生じた。そのため、2022年度が最終年度であったが、期間延長を申請した。本報告書執筆時点では、2023年度前半に海外現地調査等を実施すべく具体的に準備を行っている。
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