2020 Fiscal Year Research-status Report
文化財保存修復技術と倫理の教育 アプローチ確立への研究
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19K14266
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
長峯 朱里 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 研究員 (70759042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化財保存 / 文化財保存教育 / 専門教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、初年度の2019年度は複数の国内教育機関へのヒアリング、海外教育機関の調査を行った上で国内外の教育方針の比較を行い、従来の教育体系の調査を行った。 結果、修復倫理規定で必要とされる保存理念と倫理に関する講義数で国内の教育機関内では差が出たが、海外と比較するには教育理念の違いや授業形態が異なっているため、比較検討の見直しが必要とされた。 2020年度は保存理念・倫理の授業項目に対するデータの精査と訓練項目における作業技術と開発に着目し、調査を進めた。海外諸国での資質能力をベースにしたカリキュラムと従来のアカデミックな技術教育について情報を得ることができた。 今後は、保存修復に携わるための国資格で明確な基準がある国、資格が必要ではない国と大別した場合の比較研究を開始する。調査データ、海外の文献等の分析結果を踏まえ、独自に作成した評価項目を作成し、文化財保存における具体的な教材やカリキュラムを作成していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大防止の為、予定されていた海外での現地調査の実施が困難となっている。また、海外国内問わず、従来行われていた授業形態が取りづらくなるなどの影響で、カリキュラムに混乱が生じているところも大きい。 国内の調査においても対象者とのヒアリングを一時中断している。現在の状況が長く続いているため、研究方法を文献や非対面方式のものに集中し、本研究をまとめ上げていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、保存修復に携わるための国資格で明確な基準がある国、資格が必要ではない国と大別した場合の比較研究を開始する。調査データ、海外の文献等の分析結果を踏まえ、独自に作成した評価項目を作成し、文化財保存における具体的な教材やカリキュラムを作成していく。 本大学の保存修復教育者・他教育施設研究者・教育学研究者と連携し、文化財修復教育及び修復技術に導入しやすいカリキュラムを論議する。加えて、現存の教育と構築した理論を合わせた教育プログラムの構造枠組みを検討し、大学教育へ組み込む場合の現実的な意見を踏まえて教育に繋げるアプローチを確立する。
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Causes of Carryover |
前年度は調査予定であった海外教育機関が新型コロナウイルス感染症のため渡航が困難になってしまったことにより研究が滞った。加えて学会や意見を交わす場への参加も行えなかった。 今年度は状況が改善し次第渡航する準備を行っており、引き続き国内・国外の調査と研究発表に使用する経費に充てる予定である。
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