2019 Fiscal Year Research-status Report
近現代日本における大学学長職の地位・役割・動態に関する歴史社会学的研究
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19K14268
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
戸村 理 國學院大學, 教育開発推進機構, 准教授 (00758576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大学学長職 / ガバナンス / 教学と経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画の1年目であることから、基礎的な調査研究を行った。具体的には第一に近現代日本における大学学長職の実態を抑えることが必要と考え、戦前から戦後の各高等教育機関(国公私立の設置形態は問わない)において学長職にあった人物を一覧にする基礎的作業に取組むこととした。各機関の沿革史等を資料に一覧表作成に着手したが、時間的制約に加え、戦後設置されたいくつかの大学でその実態を把握することが想定していたよりも容易ではなく、網羅的かつ正確な一覧の作成には至らなかった。今後も引き続き資料等の収集を行い、一覧表の作成に努める予定である。 具体的に取り組んだものとしては第二に学長職の地位と役割について、各機関でどのように規定されていたのかを把握すべく、資料収集を行った。極めて限定された機関については、少数の先行研究が存在するが、やはり網羅的かつ一定の正確性が保証された先行研究は存在しないため、この取組に着手した。沿革史が刊行されている機関については、その中で紹介されている資料・規程等を頼りに、整理・分析を行った。戦前より設置されていた機関については、アーカイブスに足を運び、関連資料の収集も行った。しかしながら網羅性を担保した一定の水準で整理した研究成果を公表する段階には至っておらず、これについても次年度でその研究を継続していく予定である。 なお本研究に直接的に結びつくものではないが、現代の大学における学長職の研究も、他の研究課題を通じて検討する機会を得ており、その知見を本研究の今後に生かしたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた進捗計画よりは送れいているのが現状である。具体的には研究計画1年目では、資料収集を集中的に実施し、その整理と分析に注力する予定であった。しかしながら勤務校での業務や研究室の異動、学外での各種公的活動等により、十分な時間を確保することができなかった。加えて飼料の確保そのものに戸惑ったことも一因である。戦前・戦後と高等教育機関としての連続性が確認できる機関においてはさほどでもないが、戦後、新制大学として新たに設置された機関では、大学学長職の地位、役割、動態に関する資料を網羅的に集めることに、比較的大きな困難を伴った。そのようなことがあり、研究の進捗状況は、やや遅れる状況となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目では、1年目の遅れを取り戻すことにまず注力したいと考える。具体的には資料収集を積み重ねながら、制度・政策における学長の地位と役割の変遷を分析し考察すること、各機関における学長の地位と役割の変遷を分析をすることとし、それを総合することで有為な知見を見出したいと考える。その上で分析期間における大学学長職のデータベースの構成に努めたい。1年目より実施している学長職の一覧表を完成させた上で、個々の学長職の経歴調査を行うことで、良質な内容を伴う大学学長職のデータベースを構築したいと考える。
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Causes of Carryover |
実施前計画との差額が生じた原因は、旅費と人件費・謝金の執行が計画通りに行かなかったことによる。旅費については、学内外の突発的な業務が多々発生したことで、予定通りの執行を行うことが出来なかった。それに伴い、入手した資料の整理・入力を依頼する予定で確保していた人件費・謝金の執行も不十分となってしまった。
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