2019 Fiscal Year Research-status Report
教育的介入を取り入れた歯学部生における学業成功のカリキュラムの開発
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19K14272
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
李 正姫 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (10747984)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯学部生 / 学業成績 / 不安 / 先延ばし行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では歯学部生の成績に影響する要因について、非認知的側面に注目する。具体的に、非認知的側面は以下の3側面を取りあげる。一つ目は内発的動機づけの要素である「価値方略」、二つ目は行動面から「先延ばし行動」、三つ目は感情面から「抑うつ・不安」である。この3側面からの要因がどのような仕組みをもって歯学部生の学業成績に影響を及ぼすかを解明する。勤務校である神奈川歯科大学の1年生を対象とした上記の3要因と成績の関連について、アンケート調査を実施し、以下のような結果が得られた。一つ目は、「先延ばし行動」をすることで「いらいら感情」を促進し、「いら立ち感情」が「成績」にネガティブな影響を及ぼしていた。二つ目は、学習内容の重要性や有用性あるいは面白さという価値を感じることの「価値方略」は成績と有意な関連がなかった。三つ目は、「先延ばし行動」から「成績」への直接的な影響はなかったが、「いら立ち感情」を媒介とした間接的な影響の可能性が見られた。要するに、歯学部生の学業成績と直接的な関連を持つのは「感情」面であることが明らかになった。「いら立ち感情」をどのように乗り越えるかが重要である。上記の結果を用いて、教員から歯学部生の成績へのサポートとして、学生がかかえる留年への心配や試験勉強への不安など感情的な側面への介入が効果的であることがうかがえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和1年度の計画としては、研究代表者が所属している神奈川歯科大学と研究仲間の所属先である東京歯科大学における歯学部1年生を対象としたアンケート調査を行い、両大学歯学部生の調査結果を比較検討し、歯科医師国家試験の合格に寄与する要因を解明することであった。研究代表者の勤務校ではアンケート調査が実施済みであるが、研究仲間の所属先である東京歯科大学においては調査が実施されていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和1年に得られた学習行動プロセスモデルを令和2年においては、勤務校である神奈川歯科大学と研究仲間の所属先である東京歯科大学でアンケート調査を実施し、このモデルの信頼性を確認する。そして、両大学歯学部生の調査結果を比較検討し、歯科医師国家試験の合格に寄与する要因を解明する。 令和3年には医学部生を対象とした上記のモデルについてアンケート調査を実施し、このモデルの汎用性を検討する。 令和4年は下位成績グループの学生20人程度を対象にしてブリーフセラピー及びマインドフルネスによる心理的介入を行う。ブリーフセラピーは勉強することの意味や価値を見出すために効果的な心理療法であり、マインドフルネスは不安な状況にとらわれずに、客観的に自分を見ることを促す心理療法である。
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Causes of Carryover |
単純に計算ミスで8円を繰り越すことになった。文房用具の購入に使う予定である。
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