2021 Fiscal Year Research-status Report
教育的介入を取り入れた歯学部生における学業成功のカリキュラムの開発
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19K14272
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
李 正姫 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (10747984)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯学部学生 / 学業成績 / 学習方略 / 学業有能感 |
Outline of Annual Research Achievements |
学業不振に影響を及ぼす潜在的な要因を探索するため、成績下位者と成績上位者のStudent profileの違いについて、先行研究の知見に基づいて、5領域に分けて、解明することを試みた。5領域の詳細は、社会的属性、生活習慣、学習習慣、学業有能感、進路決定のプロセスに関する要因となっている。2021年4月、研究代表者の所属機関から倫理委員会の承認を得て、2021年6月から8月にかけて、私立の歯学部学生176名を対象に、オンラインによる質問紙調査を行った。Ihm(2013)に従い、上位50%以内の学生を成績上位群ととらえ、下位50%の学生を成績下位群として分類した。次に、この2群における各領域における平均値の違いについて統計的な解析を行った。その結果、成績上位群には女性の比率が男性より有意に高かった。成績上位群は、計画な学習を行い、勉強に対して好きであり、得意だと認識していた。一方で、成績下位群は一夜漬けの学習や勉強に対する苦手意識が高かった。さらに、成績上位群は成績下位群より目標とする成績のレベルが高く、自分の成績に対する主観的評価も高かった。 これらの結果を用いて、成績上位群は、学習成功の維持要因を分かることができ、それを続ければいい。成績下位群は、成績不振と関係する個人的特性が把握できて、成績向上のための手掛かりを得られる。教員から学生への教育的介入については、既存の面接項目にそって機械的に学生相談に臨むのではなく、個々人の行動的特性と成績向上のためのアイデアを学生に気付かせて、学業の動機づけにつなげることで、潜在的には成績向上に寄与できるものと考えられる。 次に、成績下位群が学習行動を始めて、それを維持させるためには、何が必要かを検討する。いわば、先行研究で言われている「学習行動の持続性」に関する研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の計画通り、倫理委員会の承認を得て、アンケート調査が終了した。2022年2月は英文雑誌「Indian Journal of Dental Education」に投稿し、審査結果を待っている。 そして、上記のアンケート調査結果による別の研究を行うため、2022年5月開催予定の倫理委員会の審査を受ける準備をしている。同時に、アンケートの結果を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、この科研の最終年度である。目標は、成果を論文投稿などで公表することと得られた成果を学生や教員にフィードバックすることである。2022年2月28日、一つの論文を英文雑誌に投稿中で、審査結果を待っている。さらに、もう一つの論文を今年度中に別の英文雑誌に投稿予定である。そして、アンケート調査に参加した学生を対象に、学業アドバイスを求める人を募り、結果を開示し、学業不安を抱えている学生にはブリーフセラピーやマインドフルネスによる心理的介入を行う。さらに、教職員を対象にFDやSDなどの機会を用いて、具体的な教育的介入の方法を提示することで、学生相談などに役立ててもらえると思う。
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Causes of Carryover |
コロナパンデミックの影響により、学会発表などの出張が全然できなかったからである。次年度使用計画は、国内の学会はもちろん、オンライン国際学会にも積極的に参加し、今までの成果を公表し、本企画で見出された日本の歯学教育に寄与できる要因を世界各国の研究者と議論する。
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