2022 Fiscal Year Annual Research Report
教育的介入を取り入れた歯学部生における学業成功のカリキュラムの開発
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19K14272
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
李 正姫 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (10747984)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯学部学生 / 学業成績 / 動機づけ調整方略 / 有意味感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歯学部学生の成績を促進する要因と阻害する要因を解明する。促進する要因と阻害する要因について、動機づけ調整方略の観点からとらえる。動機づけ調整方略の詳細について、価値づけ・有意味感・成績重視の要因を取り入れる。重回帰分析の結果、歯学部学生の良い成績を予測する要因は、女性であること、年齢が高いこと、高い有意味感の順序になった。価値づけや成績重視の要因は、歯学部学生の成績に影響を及ぼす有意な要因ではなかった。ここから考えると、授業で学ぶ内容の理解や重要性の認識を強調する「価値づけ方略」の効果には限界があり、むしろ授業の範囲を超えた、人生全体における明確な目標を表す「有意味感」を上げる方略に成績向上の可能性を見出すことができよう。 上記の結果を踏まえて、教育的介入として、歯科医師という将来の職業が自分の人生にどのような意味を持つのかについて考える機会を設け、その「有意味感」を育てていく教育的支援を開発したい。歯学部学生は国家試験合格が念頭にあり常に成績の方に注意が向き、歯科医師そのものに対する将来像など成績以外のことには注意が向きにくい。こうした側面を育てる心理方略として、マインドフルネス及びメタ認知に焦点を当てた認知行動療法などの技法に着眼する。これらは教育や産業の場でも広く適用される。学生をサポートする側がこれらを用いることで、注意の方向を成績に限らず個人の人生全体に向け、そのビジョンの始点としての「今」に視線を導くことができる。注意の視点を変えることで、学習者には新たな気づきが生まれ、学びの姿勢が整っていくことを期待できる。
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