2021 Fiscal Year Research-status Report
New type of organizations promoting diffusion of higher education reform: its importance in policy based on theoretical observation
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19K14274
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Research Institution | Momoyama Gakuin University of Education |
Principal Investigator |
柴 恭史 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 准教授 (80761139)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バッファ・ボディ / アクチュアリー / 高等教育と社会の連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、日本におけるバッファ・ボディ型組織(社会と大学の間に介在し、教育システム全体の視点から改革を促す大学間連携組織)の構造を明らかにすることを目的としている。 昨年度の研究を通じて、バッファ・ボディ的な役割を果たす組織として、アクチュアリー会による資格制度のアクチュアリーの資格制度の検討を進めてきたが、アクチュアリー会は大学間連携組織ではないという点で(バッファ・ボディと類似の機能は果たしうるものの)厳密な意味でのバッファ・ボディ型組織とは言えないという問題があった。そこで、今年度はこのようなアクチュアリー資格制度の発展における高等教育そのものの役割を明らかにするため、具体的な各大学における養成システムについて調査した。 調査の結果、国公私立の違いや理工系、経営系の違いなどを要因として、大学間でもその養成システムの確立度には差異が見られた。一方で、アクチュアリー会の立場からはこうした大学間での教育内容の差異にはそれほど問題意識はなかった。その背景には、最終的な養成が卒業後の実務の中で行われるものという認識があった。この意味において、アクチュアリー会(=専門職団体)による資格のコントロールは高等教育における教育の変革を直接促すものではないことが見いだされた。 しかし、アクチュアリー会が高等教育に求めているものは養成の高度化ではなく、むしろそこで用いられる知識・技能の背景理論、例えば統計学などの学術知を一般化させ、専門性の背景となる普遍的な知の深化を図ることが求められていることが明らかとなった。このような社会と高等教育との連動はまさに本研究が想定するバッファ・ボディの機能そのものであるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個々の研究としてはおおむね順調に進展しているといえるが、本年度は家庭状況の変化等の私的な事由により研究の全体をとりまとめることができなかった。そのため、研究期間延長の申請を行い認められたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、バッファ・ボディの構造解析という本研究の主たる目的を明らかにするため、さらなる具体的な分析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、当初予定していた国外調査が実施できなかった。しかし、代替として文献収集および国内のデータ収集を予定しており、より丁寧なデータ収集によって分析の質を向上させる計画である。
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