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2022 Fiscal Year Research-status Report

New type of organizations promoting diffusion of higher education reform: its importance in policy based on theoretical observation

Research Project

Project/Area Number 19K14274
Research InstitutionMomoyama Gakuin University of Education

Principal Investigator

柴 恭史  桃山学院教育大学, 人間教育学部, 准教授 (80761139)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywordsバッファ・ボディ / 大学間連携 / 高等教育と社会の連携 / 高等教育改革 / 大学コンソーシアム
Outline of Annual Research Achievements

本研究は高等教育改革が過度に競争的状況に陥ること、および社会から目的意識の希薄な改革要求が過剰に行われることによって、各教育機関が孤立しリソースの不足等を原因として実質的改革が挫折するという問題に注目している。この課題を乗り越えるために、大学連携組織と社会との中間組織の2つの性質を備えたバッファ・ボディという組織モデルを想定し、その構造について検討を進めている。
本年度は、日本におけるバッファ・ボディとなる可能性の高い大学連携の一つである「大学コンソーシアム」に注目し、各種の大学コンソーシアムが加盟大学および自治体や産業界などの社会とどのように関わっているのかを調査検討した。複数の大学コンソーシアムの実地調査およびその比較により、以下の点が示唆された。
第一に、このようなコンソーシアムに対して、自治体や産業界から積極的なアプローチが行われることは少数の事例を除きほとんどない。概して社会の側はコンソーシアムを通じた高等教育の変化に対して受動的であり、フィードバックも弱い。コンソーシアムもこの点について課題意識を持っており、近年はどのようにコンソーシアムという場の価値を社会に伝えるかが重要なテーマとなっている。
第二に、コンソーシアムと各加盟機関との関係においては、独立した事務局を置いている場合であってもコンソーシアムは各機関に対して従属的な立場にあることも多く、各機関内部における教育活動への影響、たとえば共通プログラムの開発などの動きは限定的である。そのため、コンソーシアムの主体的事業は各機関から分離した独自事業として動くことも多く、高等教育改革に必ずしもつながっていない。
第三に、コンソーシアム自体はこうした課題に対しかなり意識的に対応を試みている。その一方で、より実効的な対応のためにはリソースは十分とはいえず、事務局組織の教育的専門性の向上も求められる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は今年度が最終年度であったが、COVID-19の感染拡大等外的要因による調査の遂行等の遅れにより、これまでの研究成果全体をとりまとめるには至らなかった。したがってスケジュール上は遅れが生じている。
一方で、研究成果の面では当初想定していなかった発見も多い。たとえば、これまで本研究では日本国内におけるバッファ・ボディ型組織はあまり存在しないと想定してきた。しかし、実地調査を通じて、大学コンソーシアムなどは主体的な事業実施を目指して意欲的な活動を行っており、バッファ・ボディとしての機能の萌芽が見いだされ、今後個別大学や社会と関係性を構築する過程でバッファ・ボディとして成立する可能性が指摘できた。また、アクチュアリーなどの専門職団体の活動を検討するなかで、高等教育に対する社会の要求は必ずしも実際のスキルに対する要求ではなく、その背景となる基礎的な知見の蓄積を求める場合もあることが見いだされた。
以上の点から、研究成果のとりまとめはあるものの、それは当初想定していなかった知見の蓄積によるものでもあり、研究課題の内容面ではおおむね順調に進展していると言ってよい。

Strategy for Future Research Activity

2度の研究期間延長を経て、次年度が研究の最終年度であるため、これまでの研究成果を整理し、バッファ・ボディの機能として統合するとともに、これまでの事例をモデルにもとづいて再分析を行い、妥当性を検証する。

Causes of Carryover

本研究はCOVID-19の感染拡大等にともない、当初予定していた実地調査等が大幅に遅れることとなった。また、研究で当初想定していなかった関連課題で本研究の一環として検討すべきものが生じたことと、研究以外での家庭事情(育児)等により予定通り研究を進めることができなかった。
次年度は最終年度であり、残る実地調査を遂行するとともに、研究成果の社会への発信も行いたいと考えている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Book (1 results)

  • [Book] 高等教育システム強化のための緩衝組織の構造と機能2023

    • Author(s)
      柴 恭史
    • Total Pages
      304
    • Publisher
      東信堂
    • ISBN
      9784798918242

URL: 

Published: 2023-12-25  

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