2019 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒が円滑なコミュニケーション活動を行うための音環境の在り方
Project/Area Number |
19K14281
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田原 敬 茨城大学, 教育学部, 講師 (70735753)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 雑音下聴取 / クラスルームノイズ / SN比 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校での学習形態が多様化している今日において,他のグループの会話音や隣の教室からの活動音等が「雑音」となって,児童生徒のコミュニケーション活動に影響を及ぼす可能性が指摘されるようになった。しかし,音環境という視点から児童生徒の困難について検討した報告は少なく,支援の手立てが検討できないという課題がある。そこで本研究では,どのような雑音がコミュニケーション活動に影響を及ぼすのか,また,どのような児童生徒が雑音からの影響を受けやすいのかという点を明らかにすることを目的としている。 2019年度は研究計画にのっとり,研究1:雑音の種類が音声理解に及ぼす影響と,研究2:雑音の音圧が音声理解に及ぼす影響について幼児を対象とした実験結果をまとめた。雑音の種類に関しては従来用いられているようなホワイトノイズ,スピーチノイズといった人工音よりも,「子どもたちが自由に遊んでいる音」や「教室で30人程度がそれぞれ自由に会話をしている音」等のクラスルームノイズを使用した条件の方が正答率が大きく低下することが明らかとなり,日常生活に近づけた条件下で検討する際に重要な観点になると考えられた。また,雑音の音圧については,雑音の種類のいかんを問わず,SN比の低下に伴い雑音下聴取成績が低下することが明らかとなった。学習形態や授業形態によって,様々な音が生じている現状にあるかと思われるが,学校場面などでは話者の音声のみではなく周囲の状況にも目を向けた音環境の調整が必要になると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき実験を実施することができ,国内の学会で発表することができた。また関連の研究に関しても論文として学会誌に掲載されたことから,順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画にもとづき,研究3:雑音下での音声理解と児童生徒の発達との関係と研究4:雑音下での音声理解における困難と認知機能との関係について引き続き実験や分析を行う。同時に,2019年度に実施した研究結果をまとめ学術雑誌等に投稿を行う。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた実験用のソフトウェアが,現在具備されているもので対応が可能であったため購入の必要がなくなり次年度使用額が発生した。一方で,現在解析用に使用しているラップトップの不調が続いているため,新たなラップトップの購入資金に充てる計画である。
|