2020 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒が円滑なコミュニケーション活動を行うための音環境の在り方
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19K14281
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田原 敬 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70735753)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 雑音下聴取 / クラスルームノイズ / 幼児 / 注意機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校での学習形態が多様化している今日において,他のグループの会話音や隣の教室からの活動音等が「雑音」となって,児童生徒のコミュニケーション活動に影響を及ぼす可能性が指摘されるようになった。しかし,音環境という視点から児童生徒の困難について検討した報告は少なく,支援の手立てが検討できないという課題がある。そこで本研究では,どのような雑音がコミュニケーション活動に影響を及ぼすのか,また,どのような児童生徒が雑音からの影響を受けやすいのかという点を明らかにすることを目的としている。 2020年度は研究計画にのっとり,主に雑音下での音声理解と児童生徒の発達との関係について調査を行った。具体的には,2019年度に実施した研究結果を踏まえて雑音の種類(実際に幼児が遊んでいる場面を録音したクラスルームノイズ)及びSNを設定し,3・4才児群,5歳児群,6歳児群を対象に雑音下聴取課題を実施した。その結果,年齢が上がるにつれて雑音下聴取成績も向上することが明らかとなった。あわせて,聴覚的な注意機能を計測する課題(A-CPT)を実施した結果,年齢が上昇するにつれ成績が向上していた。雑音下聴取課題と注意計測課題との成績には有意な相関関係が確認され,月齢を制御変数とした偏相関係数を算出しても有意であった。すなわち,今回計測したような注意機能が雑音下聴取に影響を及ぼす認知要因のひとつであると考えられた。上記の結果及び,他の関連する研究成果に関しては,国内の学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば2020年度は「雑音下での音声理解における困難と認知機能との関係」についても検討する予定であったが,COVID-19の影響を受け,実験の実施が困難であった。実験の準備は整っているため,感染状況を見ながら実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は「雑音下での音声理解における困難と認知機能との関係」について引き続き検討を行う。COVID-19の影響により大学外での実施が困難な際には,障害の疑いのある幼児について事例的に検討する,あるいは大学生を対象に脳機能計測を実施するなどで対応したいと考える。
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Causes of Carryover |
2020年度にプラハでの国際心理学会への参加を予定しており,その分の旅費を計上していたが,COVID-19の影響で延期になった。同様に国内学会についてもいくつかが中止あるいはオンライン開催となったために,旅費が使用できずに次年度使用額が生じた。これらに関しては,2021年度に調査をすすめるうえで,刺激編集用ソフトウェアや刺激提示装置の更新に充てたい。
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