2020 Fiscal Year Research-status Report
視線追跡装置を用いたディスレクシアの診断補助・合理的配慮支援法の個別評価の確立
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19K14282
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
三崎 真寛 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (20834493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発達性ディスレクシア |
Outline of Annual Research Achievements |
発達性ディスクレシアにおける読みの障害に、どのような発達傾向や生物学的基盤が関与しているかは多くの研究が行われているが、統一した見解は得られておらず、依然として不明な点が多い。これまでの既存研究では定型発達の日本語話者では、発達の過程で単語をひとつずつ確認しながら読み上げる「逐語読み」からある程度単語や文章をひとまとめに認知し読み上げる「まとめ読み」に変化し、流暢に文章を読み上げることができるとされている。一方で日本語話者のディスレクシアでは「まとめ読み」が困難であり、「逐語読み」のままのため文章の読み上げが困難といった特性があると知られている。 今回独自に作成した課題ではこれまでのスクリーニング課題とは異なり「逐語読み」から「まとめ読み」への移行を確認することが可能となっており、学習効果に着目した新たなアプローチで読み障害の特性についての評価を可能としている。 2020年度は読みに問題のない成人を対象に予備実験を実施しており、コントロールデータとして、発達特性やIQなどの項目との相関をなどを確認し、読みの能力における関連を検証する。予備実験を参考に児童を対象としたコントロールデータも収集を予定している。すでにディスクレシアと診断されている児やこれまで診断のついていない者も対象に課題を実施し、読みの障害と学習能力の特性を比較し、発達特性や生物学的基盤の関連についても検証する。実際の教育現場を考慮すると、個々人の発達特性や背景に合わせた合理的配慮の実施が重要であり、今後は適切な合理的配慮の選択など教育現場での活用が可能かなどの検証も行っていく。またこの課題でスクリーニングされた読み障害のある者を対象に脳画像研究を行うことで、客観的なデータや生物学的特徴に基づいたディスレクシアのサブタイプ分類についても可能となると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文章課題についてはすでに作成できており、成人を対象としたデータ収集については倫理審査委員会でも承認も得ている。しかしコロナウイルスの流行に伴い予定していた成人を対象としたデータ収集はまだ目標数に達していない。また児童を対象としたデータ収集も同様に実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
早期に成人を対象としたコントロールデータの収集を実施していく。並行して児童を対象としたデータ収集についても実施準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
臨床研究における謝金として予算を組んでいたが、今年度は臨床研究が実施できなかったため、次年度に持ち越した。次年度使用額については改めて臨床研究における謝金として利用を予定している。
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