2019 Fiscal Year Research-status Report
Snoezelen(スヌーズレン)の有効性についての心理生理学的研究
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19K14291
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
橋本 翠 吉備国際大学, 心理学部, 准教授 (60735257)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Snoezelen / ERP / 注意の制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,Snoezelenを効果的に利用するための基礎的な理解として,Snoezelenが生体機能にどのような影響を与えるのかについて,心理生理学的な実験手法を用いて明らかにするものである。本年度は,【研究1】として,Snoezelenがヒトの認定システムにどのような影響を与えるのかについて2つの実験を行った。【実験1】Snoezelen環境が注意の制御(注意を向けさせるなど)に影響を与えるのか,もしくは覚醒水準の変化に影響を与えるのかについて検討した。その結果,視覚環境あり条件では,Binaural beatおよびMonaural beatの音がある条件よりも音がない条件でより環境に注意が向き,音がない条件では,視覚環境あり条件よりも視覚環境なし条件でより課題に注意が向くことが示された。【実験2】Snoezelenが生体に影響を及ぼす要因の一つとして視覚(色)環境について検討した。その結果,yellowの色環境により注意が向くことが示された。さらに,redとblueの色環境を比較すると,blueの方がP3bの振幅が小さいことが明らかとなり,青色環境においては課題遂行に対する意欲を減退させる可能性が示唆された。 【研究1】では,認知課題として,難易度の異なる2種類の視覚オドボール課題を用いて,Snoezelenが注意の制御に影響を与えるのか,もしくは覚醒水準の変化に影響を与えるのかという仮説を立て,実証を試みた。もし,前者であれば課題の難易度に関わらず視覚・聴覚刺激のない環境下の方が課題成績も良く,ERP成分も増大し,後者であれば,視覚・聴覚刺激ありの環境下で課題成績が良く,ERP成分も増大すると予想した。2つの実験結果から,視覚・聴覚条件の有無がERP成分の増大に影響を与えることが示され,Snoezelen環境は注意の制御に影響を与えることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,予定している3つの研究のうち,【研究1】として実験2つを実施し,結果を出すことができた。しかしながら,コロナ禍の影響で,【研究1】で予定していた実験が1つ出来ていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,【研究1】で予定していた嗅覚条件の実験を実施し,【研究2】としてSnoezelenを構成している個々の機材・器具の効果を調べるために,主観的な痛み感覚(不快感)がそれぞれの環境下でどのように変化するのかについて痛み関連ERPおよび痛み感覚(不快感)さらに機材・器具の好みを測定分析する。
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Research Products
(3 results)